フランス・フットボール通信BACK NUMBER
差別と戦ったミーガン・ラピノー。
メッシ、ロナウドらを痛烈批判。
text by
![クリストフ・ラルシェ](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/6/3/-/img_63c0172edf1a3eec5d5017836b5eb9301895.jpg)
クリストフ・ラルシェChristophe Larcher
photograph byLionel Hahn/L'Equipe
posted2020/03/22 11:55
![差別と戦ったミーガン・ラピノー。メッシ、ロナウドらを痛烈批判。<Number Web> photograph by Lionel Hahn/L'Equipe](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/e/d/700/img_edfcd3f83ad1db2c38f6f32a4975e4fe153139.jpg)
彼女の存在は、サッカー界、スポーツ界を越え、多くの人々に勇気を与えるアイコンとなった――。
「男性よ、覚醒してください!」
――結局のところメッシもロナウドもイブラヒモビッチもネイマールも、穏健な世界の住人ということですか?
「たぶんそうであるから、私は彼らの沈黙を理解できない。
ときに怒りを感じるし悲しくもなる。
ADVERTISEMENT
『自分は悲惨な世界から抜け出した。今の生活を失いたくない』と、彼らが心の中で叫んでいるのは想像できる。でも、いったい何を恐れているのか! 彼らにだって黒人やゲイの友達がいるだろうし、多くのひとたちが差別に苦しんでいることを分かっているはずなのに。
スターリングやクリバリーのように心からの叫び声を彼らもあげなければ何も変わってはいかない。そこにもまた問題がある」
――彼らを前に話す機会を得たらいったい何と言いますか?
「差別を受けている人々のことを話したい。それから彼らが最優先ではないにせよ、私たちは男性の手助けを必要としているということ。彼らにとっては不愉快でも、緊密な関係を築くべきだと思っている。
彼らを引き込むためなら騒ぐことも厭わない。
男性よ、覚醒してください!
エゴを抑えてください!
別に十字軍になって欲しいわけじゃない。ツイートしたり、インスタグラムにちょっとしたメッセージを貼りつけるだけでいい。フォロワーが何百万人もいるのだから、それだけでも絶大な効果がある。
『女子サッカーにもっと投資すべきだ』と、ロナウドがツイートしたときのインパクトを想像したらよくわかるでしょう」
レブロン・ジェームズが発した差別へのコメント。
――サッカーの世界が現実の世界に目を向けるためにはどうすればいいのでしょうか?
「アメリカではふたつのメジャースポーツが対照的な対応をした。
NFLはオーナーたちが選手を黙らせて成功したのに対し、NBAはアダム・シルバー(第5代コミッショナー)が選手により大きな責任を与えてメッセージを発するよう勇気づけた。結果は、NBAのスーパースターであるレブロン・ジェームズの発言に誰もが耳を傾けるようになった。彼の言葉はバスケットの世界を超えて広く人々の生活に対して影響力を持った。
サッカー選手も自分たちには力があることを忘れてはならない。サッカーは選手の才能と名声に依拠していることを。
でも、サッカーの世界を理想的に変えていくことなど幻想にすぎない。毎週どこかのスタジアムで、人種差別的な歌が歌われ差別行為がなされている。そうした憎悪の言葉を放置してはならないのは、私たちの国では毎日のように黒人だから、ゲイだから、性的なマイノリティだからという理由で暴行や殺人が繰り返されているから。笑いごとで済ませては駄目でしょう!」