炎の一筆入魂BACK NUMBER
広島が仕掛ける打順革命、思想は?
新井が5番ではなく6番に座る理由。
posted2017/05/29 17:30
text by
前原淳Jun Maehara
photograph by
Hideki Sugiyama
今年も広島打線は他球団の猛威となっている。交流戦までの49試合(5月28日現在)で、いずれもトップの打率2割7分8厘は、チーム打率2位のDeNAに2分7厘差、256得点はチーム得点2位の阪神に67得点差をつける。
1番から3番まで田中広輔、菊池涼介、丸佳浩の不動のタナキクマルトリオに、今年は4番に若い鈴木誠也が定着した。だが、固定された選手たちが結果を残すだけでなく、選手を入れ替えながら起用している。石原慶幸と會澤翼が併用される捕手を含め、49試合で打線は29パターンにのぼる。
先発入れ替えは、ベテラン新井貴浩であっても、現在三冠王も視界に入れるブラッド・エルドレッドであっても例外ではない。昨年の日本シリーズ初戦でリーグMVPの新井を先発から外すことに躊躇しなかった。
打順を、あくまでも「つなぎ」「連結」で考える。
各打順をタイプ別に配置するのではなく、打順の前後のつなぎ、「連結」を常に考えている。そのせいか、打順構成が型にはまっていない。
たとえば5番。
一般的に長距離タイプを置く打順に、広島は足があり小技もできる上位タイプの安部友裕を据える機会が増えた。
長距離砲の松山竜平の不調など状態を見極めた上での選択。結果、1番から5番まで足が使える打線となったことで、相手にとってはやっかいな打線となった。
機動力ばかりに目が行くが、打撃面にこそ効果がある。