酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
近藤健介の「夢の4割」実現の条件。
左打者、足、そして安打より四球!
posted2017/05/25 11:30
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Kyodo News
日本ハムの近藤健介は、5月22日時点で115打数48安打、打率.417という高打率をキープしている。
「どうせ無理だろうけどね」
野球ファンの多くは、腹の底でそう思っているはずだ。打率4割は、プロ野球の見果てぬ夢、これまで多くの選手がトライしたが、誰も成功していない。
NPB史上の高打率5傑(規定打席以上)
1位 1986年 バース(阪神) 打率.389 453打数176安打
2位 2000年 イチロー(オリックス) 打率.387 395打数153安打
3位 1994年 イチロー(オリックス) 打率.385 546打数210安打
4位 1970年 張本勲(東映) 打率.3834 459打数176安打
5位 1951年 大下弘(東急) 打率.3831 321打数123安打
阪神優勝の翌年、2年連続で三冠王になった阪神、ランディ・バースの.389がNPB史上最高。バースは開幕72試合目の7月13日の時点で.404と4割をキープしていたが、以後、大台を割り込んだ。
2000年のイチローは、さらに遅い開幕76試合目、7月20日時点で.401だったが、それでも大台に届かなかった。
1994年、NPB唯一の「130試合制での200安打」をマークしたイチローでさえも、打率4割には届かなかったのだ。
実は規定打席を越えて4割を維持していた人も……。
このランキングにはないが、NPBでこれまで最も4割に肉薄したのは、1989年の巨人、ウォーレン・クロマティだ。
クロマティは開幕から97試合目の8月20日時点で、349打数140安打の.401、打席数は130試合制での規定打席にぴったりの403。
以後出場しなければ、NPB史上初の4割が実現したはずだが、ペナントレースの最中に主力選手を外すことなどできるはずもなく、クロマティは以後、90打数26安打、打率.289と成績を落とし、最終打率は歴代6位の.378(439打数166安打)に終わった。
開幕から97試合目での4割はNPB史上最長だ(2位は1964年、南海、広瀬淑功の89試合目)。