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森保ジャパンの論点「三笘薫がいないケース」を考える…“サウジとスコアレスドロー”微妙な結果をどう見るべきか?「一発回答を求めるのではなく…」
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戸塚啓Kei Totsuka
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/03/27 17:13

W杯出場決定後、最初の試合となったサウジアラビア戦。スコアレスドローという結果から森保ジャパンの論点を探る
「一発回答」を求めるのではなく…
このチームは2018年9月に立ちあげられ、すでに90試合以上を消化してきた。その間に主戦術は何度か変わっているものの、コアメンバーの連係は高まっている。バックアッパーたちの個人的なクオリティに問題がないとしても、数回のトレーニングで実戦に挑む現在のスケジュールでは、コアメンバーの壁がどうしても厚くなってしまう。
これがクラブチームであれば、毎週のリーグ戦でバックアッパー格を少しずつ起用していくことは可能だ。クラブチームには日々のトレーニングという裏づけがあるから、レギュラーのなかにひとり、あるいはふたりの控え選手を加えても、同時性や再現性が損なわれない。その結果として、バックアッパー格の選手は自身の特徴を表現することができ、選手層が底上げされていく。
試合後の森保監督は、「先発を6人変えても、ギクシャクとしたところもなかった。誰が出ても機能するところは示してくれた」とポジティブな認識を示した。物理的な時間が限られる代表チームでは、「勝利を目指しながら、可能なかぎり積み上げていけるようにチャレンジする」(森保監督)というスタンスで臨むしかない。
現チームでは欠かせない存在となっている三笘も、前回の最終予選では途中出場のジョーカーだった。底上げには相応の時間がかかるものであり、同レベルのチームを2つ、3つと作るのなら、サウジアラビア戦のような選手起用を続けていかなければならない。バックアップ層に一発回答を求めるのではなく、繰り返し起用することでW杯仕様のチームへ近づいていくはずだ。
