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森保ジャパンの論点「三笘薫がいないケース」を考える…“サウジとスコアレスドロー”微妙な結果をどう見るべきか?「一発回答を求めるのではなく…」
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戸塚啓Kei Totsuka
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/03/27 17:13

W杯出場決定後、最初の試合となったサウジアラビア戦。スコアレスドローという結果から森保ジャパンの論点を探る
スタメンやプレータイムが十分ではない選手を支える存在として、CB中央に板倉滉、ダブルボランチの一角に遠藤航、右シャドーに久保建英と、各ラインにコアメンバーが配置されていた。バーレーン戦で最終予選初出場となった左CB伊藤洋輝も、ケガさえなければ先発出場を続けてきた選手である。彼らがいることで、チームとしての機能性は担保されていた。それは間違いない。
三笘薫の不在はどう影響したか
しかしながら、森保監督が「連係・連動」と評する同時性、練習や試合の積み重ねを土台とする再現性、バリエーションと評される多様性といったものを、サウジアラビア戦の先発メンバーで生み出すのは簡単でなかったと言える。このメンバーでのトレーニング回数が十分ではなく、実戦でのトライを受けて確認や修正をするというプロセスを、ほとんど踏んでいないからだ。そこまでの時間的余裕は、予選突破前のチームにはなかった。
最終予選初先発の右ウイングバック菅原は、同サイドの久保と連係し、崩しのきっかけとなるパスや突破を見せていた。彼には最終予選以前の積み上げがあったからだ。そのうえで、三笘が左ウイングバックで出場して質的優位を発揮していれば、日本の左サイドへの警戒心はさらに高まっただろう。相手の守備の重心が左サイドへ偏り、菅原がより決定的なプレーができた可能性はある。
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テスト的に起用された選手のパフォーマンスは、試合展開にも左右される。サウジアラビア戦で言えば、前半9分の前田の決定機がポイントとなった。クロスバーを叩いたあのシュートがネットを揺らしていれば、試合運びに余裕が生まれたはずだ。
敵将エルベ・ルナールは引き分けを「良い結果」と話したが、先制されればどこかでリスクを冒しただろう。日本戦のために用意した5バックではなく、主戦術としてきた4バックへ戻したかもしれない。どうにかして同点へ持ち込もうとするのは間違いなく、その背後を突いてカウンターで2点目を奪う、というシナリオを描くことができた。1対0でも2対0でも勝利を飾っていれば、テストを受けた選手の印象はずいぶんと違っていたはずである。