甲子園の風BACK NUMBER
京都国際「なぜオリックスの応援歌を使用?」その理由に涙、関東一「爆音の“西部警察テーマ曲”」に驚き…現地で聴いた高校野球応援“ベスト5”
text by
梅津有希子Yukiko Umetsu
photograph byYukiko Umetsu
posted2024/08/21 06:01
ブラバン研究家が選ぶ…今夏の甲子園「応援ベスト5」
早実吹奏楽部顧問の木戸啓隆氏も「気が引き締まる曲」といい、「いろんな局面で何度も繰り返し演奏するので、『無限コンバット』と呼んだりもします」と話す。
大学野球や高校野球を吹奏楽で応援するスタイルは、同曲が広めたといってよく、この不朽の名作が早実アルプスから何度も鳴り響くたびに、高校野球応援の歴史に想いを馳せていた。
5)京都国際「選曲に隠された“深い理由”」
『BuffaYell』(オリックス・バファローズ応援歌)
全校生徒138人の小規模校のため、吹奏楽部がないことから、京都産業大学附属高吹奏楽部が友情応援を担当。攻撃のたびに繰り返し流れたチャンステーマが、オリックス・バファローズの応援歌『BuffaYell』だ。
高校野球応援でプロ野球の応援歌を使うケースは多い。近年特に人気が高いのが、千葉ロッテマリーンズや阪神タイガースのチャンステーマで、全国の高校で使われている。野球部に選曲理由を聞くと、その球団のファンか否かは関係なく、「カッコいい曲なので使おうと思った」という声が大半なので、『BuffaYell』もてっきりそういう理由なのかと思っていた。しかし――。
1回戦、3回の攻撃が終わった頃、アルプススタンドの野球部に選曲理由を尋ねたところ、思いがけない答えが返ってきたので、じっくりと歌詞を見直して納得し、思わず涙した。この曲を選んだ理由を、野球部応援団長の山本新之助さんはこう話してくれた。
「僕たちにとって、甲子園は栄光の場所です。2年前のセンバツに出られなくなり、挫折を味わいました。この応援歌の歌詞が自分たちの心境にぴったりで、チャンステーマとして使わせていただいています」
『BuffaYell』
栄光と挫折を何度と繰り返そうと
これからも共に歩み止めることなく
変わらない想いを強く込めた
湧き上がる希望の唄よ
未来と繋ぐ標(みち)となれ