メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
「好きなスポーツ選手」大谷翔平が断トツ人気でも「野球少年が10年で半減」の衝撃…“野球離れ”を食い止めるために必要なこと
posted2024/08/21 11:00
text by
五十嵐亮太Ryota Igarashi
photograph by
Getty Images
NumberPREMIERの動画番組「Set Up Baseball」のホスト役でもお馴染みの五十嵐亮太氏が「野球の未来」を考えた。
大谷選手はメジャー史上6人目となるホームラン40本、40盗塁の「40-40」の偉業達成も目前。一時的な不調も脱出への糸口を掴んだように見え、シーズン終盤の厳しい戦いが続くチームを牽引しています。活躍は連日、ニュース番組やワイドショーで伝えられ、大谷選手に憧れる子供たちも多い。ところがその熱狂の一方で、野球離れが進んでいるという現実は不思議ですし、野球界の一員として本当に寂しいことだと感じています。
野球少年が「ほぼ半減」
全国の野球人口はこの10年で約60万人も減少し、特に顕著なのが小中学生の野球離れだと言われています。全日本軟式野球連盟のデータによると、昨年の小学生の登録選手数は約16万2300人で、2010年当時からほぼ半減しているそう。そもそもボールを投げたり捕ったりという基本的な動作にすら馴染みがない子供も増えていると聞きます。
育成年代の現場で実際に話を聞いていると、まず野球をやりたくても始める環境がない、ということが一番の問題点だと感じています。確かに都市部ではボールを投げられる場所が限られているし、子供だけで自由に遊べる時間も取りづらい。単純に娯楽が増えていることもあって、それならばもっと気軽にできるスポーツをしようとか、動画を見たりゲームをしよう、という選択になるのは無理もないことです。
「親への負担」は高いハードル
加えて、高いハードルとなっているのが親への負担です。野球チームに入るとなれば、まずグラウンドや球場まで送り迎えをしなければならず、弁当やお茶当番、指導者への御礼なども含めて親同士が協力し合わなければなりません。野球道具を揃え、ユニフォームを揃え、さらにドロドロになったユニフォームを毎回洗うなんてことを想像すると、一歩踏みだすことも億劫になりますよね。
「子供に野球をやらせたいけれど、現実的に難しい」
そんな声を聞くと寂しい反面、1個目のハードルの高さというのも想像がつきますから、何とももどかしい気持ちになります。