甲子園の風BACK NUMBER
京都国際「なぜオリックスの応援歌を使用?」その理由に涙、関東一「爆音の“西部警察テーマ曲”」に驚き…現地で聴いた高校野球応援“ベスト5”
posted2024/08/21 06:01
text by
梅津有希子Yukiko Umetsu
photograph by
Yukiko Umetsu
1)滋賀学園「圧倒的オリジナリティ」
『A列車で行こう』『メガロバニア』
ベスト8という快進撃とともに、大会期間中何度もニュースになるなど、話題をさらった野球部の“クセつよダンス”。応援曲選びも秀逸で、吹奏楽部が2020年にジャズオーケストラ部にリニューアルしたこともあり、「本校らしい特色のある応援曲を」と同部顧問・北川和哉氏が選んだチャンステーマの1つが『A列車で行こう』だ。誰もが聴いたことのあるジャズのスタンダードナンバーだが、野球応援に使っている学校は聞いたことがない。耳なじみのあるメロディと「シュッシュッポッポッ」と汽車が走るジェスチャーを織り交ぜた野球部のダンスがアルプススタンドを明るく包み込み、SNSでも話題に。
もう1つのチャンステーマ『メガロバニア』は、『UNDERTALE』(アンダーテール)というゲームの楽曲。同校には、ゲーム開発などデジタルクリエイターを目指すための「メディアコミュニケーション探究」というコースがあり、ゲーム音楽を選んだのもそれが関係している。「他がやっていない曲を選びたい」という同校のようなケースが増えれば、春夏の甲子園がさらにおもしろくなるだろう。
2)青森山田「テンポ速く…アレンジ見事」
『OSE-OSE-YAMADA』『ねぶた節』
春夏通じて初の4強入りを果たした青森山田の応援は、闘争心が駆り立てられそうな速めのテンポで統一した、流れの途切れない演奏が美しい。なかでも筆者のお気に入りは、攻撃中に何度も繰り返すファンファーレのような楽曲『OSE-OSE-YAMADA』から続く『ねぶた節』。「ラッセーラー! ラッセーラー!」という勇ましい掛け声がアルプスにこだまするたびに、「テレビ中継を見ている地元の人たちもうれしいだろうなあ……」と、地域色豊かな応援に、「甲子園はふるさとを感じる場所」ということをしみじみと感じた。同曲は橋幸夫のCD『北回帰線』(2002年)のカップリング曲で、木村隆文・元青森山田学園理事長が橋と友人だったことから応援に取り入れたという。演歌という概念を覆される、スピード感あふれる見事なアレンジは圧巻だ。