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野ボール横丁BACK NUMBER
「大谷翔平のバットはなぜ“めちゃめちゃ太い”のか?」高校野球まさかの“ホームラン3本だけ”の衝撃…球児が本塁打を出せたバット名公開
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byAFLO
posted2024/04/12 11:04
昨季からチャンドラー製のバットを使用する大谷翔平。そのバットは「めちゃめちゃ太い」という
星 木のバットになると選ぶ基準が変わるんです。金属は「打感」とか「音」とか「反発力」で選びますよね。でも、木の場合、最優先されるのは折れないことなんです。大学生なんかも、まずはそこを気にしますね。金銭的な意味もありますし、折れる心配があると思い切り振れなくなる。折れないバットの条件って、まず細いことなんです。というのも太い木製バットをつくろうとすると木材を選ぶ時点で、軽めの木を選ばざるを得ない。重くなっちゃうので。そうすると木目の詰まりが緩いバットになりがちで、折れやすくなる。細いバットなら重さは気にしなくていいので、目の詰まった材を使える。そうすると丈夫なバットになる。だから、うちの店も木製は細いバットしか置いてないです。
――木製の場合、太いからといって有利ではないんですね。
星 そんなことはないですよ。太い方が芯も太いので、とらえる率は高くなります。大谷翔平選手も吉田正尚選手(レッドソックス)もめちゃめちゃ太い。村上宗隆選手(ヤクルト)も太いですよね。高校野球の金属バットみたいな形です。最近は動くボールが全盛なので、太い方が対応はしやすいのだと思います。その代わり、折れやすいと思います。ただ、彼らは折れてもすぐにメーカーから新しいバットが届くので、そこは気にする必要はない。経済的な不安がないという点は大きいと思います。アマチュアレベルでは、なかなか太い木製バットは使えないと思いますね。技術的にも、コスト的にも。
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「ミズノ・SSK“2強時代”が終わった」前編では、いま高校球児に売れているバット“新2強”を星さんが明かしています。
<前編から続く>