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田原成貴「トウカイテイオーが一番強かった」「マヤノトップガンは振れ幅が…」有馬記念3勝の元祖天才が語る“難コースの攻略法”とは
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byTomohiko Hayashi
posted2022/12/24 17:02
1993年の有馬記念、1年ぶりのレースで奇跡の復活勝利を果たしたトウカイテイオー。鞍上の田原成貴氏も涙を抑えることができなかった
中山芝2500mは、1周目が外回りで、2周目が内回りコースになっている。
「やっぱり、中山の内回りって小さいんですよ。アメリカのブリーダーズカップターフだって小回りじゃないかと言われるかもしれないけど、ジョッキーにとっては、大きくてコーナーの少ないコースのほうが楽なんです。特に中山の2500mはスタートしたらすぐコーナーでしょう。直線には傾斜のきつい坂もある。先行馬に乗っているときなんかは、後ろの騎手の仕掛け次第でチャンスが広がりますよね。自分の馬がナンバーワンではないときは、ひょっとしたら、と思えるコースですね」
イクイノックスは「府中のほうがいいと思う」
今年の有馬記念出走馬に関して、「強い」と言われている3歳世代のイクイノックスはどう見ているのか。
「よく言われる世代のレベルの違いというのは、実際にあると思います。今年の3歳は確かに強いし、そもそも現代の3歳馬は昔とは違うと思ったほうがいい。飼料もトレーニングの環境も違うし、ある程度早く完成されないと、勝負に乗り遅れてしまう。2歳のときに6月の新馬戦を勝って、休んで成長を促して、秋に復帰して翌年のために賞金を稼ぐなり、2歳GIを目指すのが理想なわけだから。血統も環境も変わって、そういうことが円滑にできるようになった。
で、イクイノックスは、今でもまだ完成されてないことがどう出るか。ゆるいもんね。あの馬は、ちょっと乗り難しいかもしれない。ゲートを出てみないとわからないところがあるでしょう。皐月賞は掛かったぶん(福永)祐一君(のジオグリフ)にやられて、ダービーでは逆に気が抜けたかのように行けなかった。強い3歳世代のトップではあるけど、それはもっとよくなるという期待値も込みのトップだよね。キタサンブラックの産駒って、そう期待させる、いい意味でのゆるさがあるというか。まだ本物じゃないと思うし、2500mは別に長くはないけど、あのストライドからして、絶対に府中のほうがいいと思う」