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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「マイナスな声ほど選手に届くんです」清武弘嗣32歳に問う“なぜ8年前ザックジャパンは惨敗したのか?”「ロンドン4位との決定的な差」
posted2022/09/25 11:05
text by
栗原正夫Masao Kurihara
photograph by
BUNGEISHUNJU
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「見方によっては厳しいかもしれないですけど、僕的には戦いやすいグループに入ったんじゃないかと思っています。正直、ドイツもスペインも優勝候補ですし、強いですよ。ただ、ドイツについてはブンデスリーガを経験している日本人選手が多いのはメリットですし、相手のことをよく知っていると思えば他の強豪と当たるよりはいい。スペインにはボールを握られると思いますが、日本の得意なサイド攻撃がうまくハマりそうです。まあ、日本と同じように規律がしっかりしているドイツは戦い難い面もあるので、初戦の相手はスペインの方がよかった気はしますけど。いずれにしても、僕的には絶対にいいところまで行くと思っています」
11月開幕のカタールW杯の組分けの印象について、元日本代表MF清武弘嗣(32歳)はそう話す。一見すると、ドイツとスペイン、2つの優勝経験国と同居したグループEは困難に思えるも(もちろんコスタリカも侮れない)、決して日本にチャンスがないわけではない。清武はポジティブにそう捉えているのだ。
ロンドン五輪とブラジルW杯の決定的な“差”
W杯開幕まで約2カ月と迫り、森保ジャパンの戦い方についてはネット上で様々な意見が飛び交っている。だが、ドイツとスペインの両国でプレーし、短期決戦という点では12年ロンドン五輪(ベスト4)と14年ブラジルW杯(グループリーグ敗退)で“成功と失敗”を経験した清武こそ、声を聞くべき1人だろう。
短期決戦では、とにかく迷いをなくし、戦い方をはっきりさせること――。清武はそれこそが何より大事だと説く。そして、ロンドン五輪とブラジルW杯では何が違ったのか? と聞くと、自身の経験談を交え、こう続けた。
「1つ言えることは、ロンドン五輪のときは戦い方がはっきりしていた。大会前は評判が悪く、メディアは“どうせグループリーグですぐ敗退だろう”って感じでした。そんななか、大会直前に自分たちでどうすべきかを話し合った結果、カウンターサッカーで行こうと。運動量は日本の武器。守りながら相手にプレッシャーをかけて奪ったら早く攻める。現地入り後の最終調整となったメキシコ戦(ロンドン五輪金メダル)で、その戦い方で勝てたこともあって『もう、これや』と固まりました。
一方、ブラジルW杯では、経験豊富な選手が多く、それぞれが意見を持っているようなところがありました。ザックさん(アルベルト・ザッケローニ元監督)が目指していたサッカーがあるなかで、最後のすり合わせがうまくいかなかったというか……迷いが出てしまった気がします」
「バスで5時間…全然休む暇がなかった」
主力として全6試合に出場したロンドン五輪と1試合に途中出場しただけでサブに甘んじたブラジルW杯。清武個人にとっても、その経験は大きく異なるが、どちらの大会もチームの雰囲気などに差は感じなかった、と明かす。