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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「マイナスな声ほど選手に届くんです」清武弘嗣32歳に問う“なぜ8年前ザックジャパンは惨敗したのか?”「ロンドン4位との決定的な差」
text by
栗原正夫Masao Kurihara
photograph byBUNGEISHUNJU
posted2022/09/25 11:05
セレッソ大阪・清武弘嗣(32歳)。日本代表として43試合に出場。12年ロンドン五輪では中心選手としてベスト4に貢献し、14年ブラジルW杯ではグループリーグ敗退を経験
振り返れば、ロンドン五輪では1トップの永井謙佑のスピードを生かす戦い方がハマり、6試合を戦いながらも(第3戦のホンジュラス戦を除けば)初戦から3位決定戦まで右SBの酒井宏樹が故障で酒井高徳と入れ替わった以外にスタメンの変更はなかった。一方のブラジルW杯では初戦を落としたこともあってか、第2戦ではそれまで主力の一角を担ってきた香川真司がスタメンを外れた。さらにサプライズ的に招集された大久保嘉人が全3試合で起用されるなど、それまで拘ってきたポゼッションを重視した戦い方を貫けなかった部分はあったのだろう。
そして短期決戦では、初戦の重要度は絶大である、と振り返る。
「勢いをつけるためにも初戦は大事。ロンドン五輪でもスペインに勝って(1-0)イケるってなりましたから。逆に、負けると相当キツい(ブラジルW杯初戦はコートジボワールに1-2負け)。それにグループリーグ突破には得失点差もかかわってくるので、いかに失点を抑えるか。ロンドン五輪は、準々決勝までは失点ゼロでしたから」
コンディショニングの重要性も度々指摘される。史上最強とも言われたザック・ジャパンの失敗の要因については、ブラジルでのキャンプ地(イトゥ)の気候が試合会場に比べ涼しかったこと、会場までの移動距離が他国と比較して長かったことなども挙げられた。しかし清武自身はそうした影響はほとんど感じなかったと回想する。
「周りはコンディショニングが大事と言いますが、ようは個々がどう試合へ持っていくかじゃないですか。ブラジルW杯のときは(キャンプ地の)環境もよかったし、僕自身もコンディションはめちゃめちゃ整っていました。それに比べロンドン五輪は6試合ぜんぶ違う会場で、バスで5時間移動とか全然休む暇がなかった。すべて中2日の日程で、試合と移動の繰り返しでかなりタフでしたからね。
今回のカタールは移動もほぼないし、環境面はそれほど気にならないと思います」
「マイナスな声ほど選手に届くんです」
ロンドン五輪しかり、10年南アフリカW杯や18年ロシアW杯など過去の日本代表を思い起こすと、前評判が悪いときに限って結果的には決勝トーナメントに進出するなど躍進している。その流れを考えると、現在の森保ジャパンに批判の声が多いのは、悪くないシチュエーションといえるのかもしれない。