「マイナスな声ほど選手に届くんでね。だから、選手はカタールでも『やってやろう』って気持ちになるはず。ロンドン五輪のときも実際にそうでしたから。『グループリーグ敗退？　いや、やるしかないでしょ！』って」

　では今回、日本代表が勝ち進むには、やはりポゼッションにこだわるより、カウンターに徹するべきなのだろうか。

「僕だって、どうやっていくべきかはわからないですよ。まして、いまはチームに入ってもいないし（笑）。ただ、メンバーの個性を生かすことは必要だと思うし、いまなら伊東純也と三笘薫の2人の両ウイングが強みだと思うので、そこまでのボールの運び方が重要になってくるんじゃないですかね。たとえば、純也に出して、あとは個人任せにするのか。それとも、純也を最大限に生かすためのボール回しをしてから、純也に預けるのか……」

　清武は19年から2年間、セレッソ大阪でスペイン人のミゲル・アンヘル・ロティーナ監督のもと、個々にポジションごとの役割や立ち位置をはっきり与えられたなか、状況に応じてオートマチックに動いていくサッカーを経験。20年にはチーム（リーグ4位）としても個人（自己最多のJ1・33試合出場8ゴール）としても結果を出している。ロティーナ時代に「ボールをいかに動かしながら攻撃するかをかなり考えさせられた」といい、いまも代表戦を見るとその部分が気になると話す。

2017年2月にセレッソ大阪に復帰した清武。2020年はリーグ33試合出場8ゴール、21年はリーグ32試合出場2ゴール。今季も開幕から活躍を見せたが、6月26日の清水戦で左足の靭帯を痛めた。9月17日の磐田戦で3カ月ぶりに先発復帰、アシストも記録している　©Getty Images

清武は“キッカーがいない”問題をどう見ているのか？

　1勝2敗とスタートでつまずいたアジア最終予選の最中には、セットプレーからの得点がないことでプレースキッカーの不在が嘆かれたこともあった。

　古くは木村和司に始まり、近年は中村俊輔や遠藤保仁、本田圭佑らに代表されるように、多くのキッカーが日本の軸となり、アジア予選やW杯を戦うなかでも1つの武器になっていた。

ロンドン五輪、準々決勝エジプト戦（3－0）。78分に清武のフリーキックから吉田麻也のヘディングで2点目が生まれた　©Getty Images

　ジーコ・ジャパンでは中村の“左足”が大きな得点源だったし、10年南アフリカW杯のハイライトはデンマーク戦での遠藤と本田の直接FKだったことに異論はないだろう。12年ロンドン五輪、準々決勝エジプト戦で試合を決定づける吉田麻也の2点目はまさに清武のFKから生まれた。18年ロシアW杯でも初戦コロンビア戦で、CKから大迫勇也がヘッドで決勝点、そこから躍進が始まった。

【次ページ】　清武は“キッカーがいない”問題をどう見ているのか？