マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
ドラフトから1カ月…他球団スカウトの“傷心”「楽天ドラ1の吉野、2位で狙ってたんです」「右のスラッガーの値段が高くなってます」
text by
![安倍昌彦](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/6/3/-/img_63c0172edf1a3eec5d5017836b5eb9301895.jpg)
安倍昌彦Masahiko Abe
posted2021/11/11 17:05
![ドラフトから1カ月…他球団スカウトの“傷心”「楽天ドラ1の吉野、2位で狙ってたんです」「右のスラッガーの値段が高くなってます」<Number Web>](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/a/9/700/img_a9bc18b1ff8497e86426d3c933cf6fe7370117.jpg)
楽天から1位指名を受け、笑顔でポーズをとる吉野創士(外野手・昌平高)
「左方向ばっかりじゃないか……」と眉をひそめた人もいたにはいたが、1試合に5本のヒットを打って走りまくり、しかも動きの激しいショートのポジションを守り通した心身のタフさはすごい。
「なんですか、あの1年生は。9回の守りでも、まだキレッキレですよ。すごいなあ!」
いつもは選手を誉めないそのスカウトも、舌を巻いている。
明秀日立打線は“プロ並み放物線”
ADVERTISEMENT
もっと驚いたのは、明秀日立(茨城)打線のスイングの凄みだ。
健大高崎との準々決勝。勝てば、来春のセンバツがグッと近づく一戦だ。初回、3番石川ケニー右翼手(2年・176cm76kg・左投左打)と、4番武田一渓(たけだ・いっけい)一塁手(2年・171cm85kg・右投右打)が、右と左に打ち上げたフライの、舞い上がったその高さのすごいこと。どちらも6秒近い滞空時間で、これはプロ並みの雄大な放物線だ。
特に石川は、次の打席でも、両翼100m、センター122mの広い球場の右中間最深部のフェンスぎりぎりまで飛ばした。ホームランまで、あと一歩。
背すじがスッときれいに立った構えは、180cm80kgくらいの選手に見える。タイミングよく呼び込んで、きれいに振り抜いたフィニッシュまで、まったく頭が動かない完璧な軸回転のスイング。夏予選も見た選手だが、3カ月ちょっとの短期間で、別人のように完成度の高いスイングになっている。「よい練習」をよほど懸命に積み重ねたのだろう。
小久保裕紀の“甥っ子”
試合前、明秀日立に188cm83kgの三塁手がいるのを、大会パンフレットを見て知っていたので、キャッチボールからその姿を追っていた。
これだけのジャンボサイズの高校2年生で、動きにバラバラ感がなく、体をコンパクトにまとめて動ける。腰を割って軸足(右足)のヒザにポンと乗せて投げられるから、体が開くこともなく、指のかかりも安定している。
明秀日立・小久保快栄(こくぼ・かいえい)三塁手。あとで知ったのだが、ダイエー、ソフトバンクの4番打者として活躍し、今季のソフトバンクでヘッドコーチを務めた小久保裕紀氏の甥っ子さんだという。