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J1連続無失点記録で歴代1位は名古屋、5位は鳥栖… 2~4位はどのチーム?【マッシモ監督の“堅守実績”もすごい】
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byGetty Images
posted2021/04/17 11:02
グランパスとサガンの“堅守対決”は、どちらの攻撃陣が守備陣を出し抜くかにも注目だ
2位:清水エスパルス 731分/1993年7~9月
<主な選手>
GK:シジマール
DF:堀池巧、加藤久、内藤直樹、平岡宏章
MF:大榎克己、澤登正朗、三浦泰年
FW:長谷川健太、エドゥー、向島建
ここに並んでいる名前だけでも、四半世紀以上前からJリーグを見てきたサッカーファンは垂涎ものなんじゃないだろうか。
当時のJリーグは懐かしの2ステージ制と延長Vゴール制だった。清水が無失点記録をマークしたのは第2ステージの第2節~第9節にかけて。第2ステージにヴェルディ川崎から加藤久、そして“クモ男”の異名を取る守護神シジマールが加入。第3節から6試合連続無失点、6連勝を果たした。ステージ順位は2位に終わったものの、18試合で26得点9失点。第1ステージが28得点25失点だったことを踏まえれば、守備力が明らかに改善されていた。
3位:浦和レッズ 659分/2014年4~7月
<主な選手>
GK:西川周作
DF:森脇良太、那須大亮、槙野智章、永田充
MF:平川忠亮、阿部勇樹、鈴木啓太、宇賀神友弥、柏木陽介、原口元気、梅崎司、青木拓矢、関根貴大
FW:興梠慎三、李忠成
当時の浦和は“ミシャ”ことミハイロ・ペトロヴィッチ監督就任3年目。前年の2013シーズンは最終節セレッソ大阪戦で南野拓実と柿谷曜一朗にそれぞれ2発を浴び、杉本健勇にもゴールを許して5失点の大敗を喫するなど、シーズンで56失点を喫し、ACL出場権を逃した。その反省を生かす形で、2014年は攻守バランスが改善された。
特にゴールデンウィークからW杯中断明けの7月は抜群の強さを見せる。ブラジルW杯日本代表に選出された西川を最後方に、J1新記録となる7試合連続無失点をマークした。
攻撃面がフォーカスされがちなミシャ監督のスタイルだが、“ボールを握り続ければ、相手に攻撃されることはない”という考え方もあったそうだ。そんな哲学が具現化されたような戦いぶりで、代名詞の可変型システムが円熟期に入り始めた頃と言えるだろう。
4位:横浜フリューゲルス 627分/1995年11月~1996年4月
<主な選手>
GK:楢崎正剛
DF:大嶽直人、森山佳郎、薩川了洋、前田浩二、小泉淳嗣
MF:サンパイオ、山口素弘、ジーニョ、三浦淳宏、原田武男
FW:エバイール、前園真聖
フリューゲルスと言えば1998年-99年元日の天皇杯優勝とクラブ消滅が語られがちだが、96年のチームも実力派だった。この年から就任したオタシリオ監督のもとで、開幕8連勝と6試合連続無失点をマークするなど好調なスタートを切ったのだ。
当時のフリューゲルスの看板と言えばジーニョ、サンパイオ、エバイールのブラジルトリオだったが、楢崎が正GKの座をつかみ、前園が前線でキレキレのドリブルで仕掛ける。そしてサンパイオと盤石のダブルボランチを組む山口……日本人選手の名前を見ても胸が熱くなる。
このシーズンは通年制で行われたが、2ステージ制だったら優勝してたかも、というほどだった。黄金時代に入り始めた鹿島アントラーズ(優勝)、ベンゲル監督率いる名古屋(2位)の陰に隠れて3位だったとはいえ、タレントと組織ともにハイレベルだったフリューゲルスという存在が、連続無失点という観点で浮かび上がってくるのは興味深い。