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なぜ“いま”決断したのか? ザーゴ解任でOB相馬直樹が就任…監督交代に見る「2つの“鹿島らしさ”」とは
posted2021/04/17 06:00
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
Getty Images/KASHIMA ANTLERS
鹿島アントラーズのザーゴ監督が解任され、新監督にコーチでもあったクラブOBの相馬直樹が就任する。
朝のスポーツ紙のニュースから数時間後、クラブからも正式発表が行われた。時間をおかずトップチームの選手とスタッフに新型コロナウイルス感染者が出たことも発表され、4月14日水曜日の朝、鹿島アントラーズは大きく揺れた。
監督解任を決めたのは「4月11日の札幌戦後」
同日夕方に監督の就任会見と、鈴木満フットボールダイレクター(FD)による会見が別々にオンラインで実施された。
クラブが監督解任を決めたのは、4月11日の札幌戦後だったと鈴木FDが口にしたが、その火種は、2月27日、鹿島のJリーグ開幕戦となった清水戦からあったことも明かされた。後半30分、苦しみながら先制するものの同33分、38分、43分と失点を喫して1-3で敗れている。
「開幕戦の清水戦で、それなりにゲームをコントロールしながら、先制点をとった。残り15分間は、しっかり守り切らないといけなかった。でもそこから3点取られて負けたことで、チームの自信というか、ベースががたがたと崩れてしまった。この試合がチームのリズムを狂わせたと思う」と鈴木FDは話す。
第3節は勝利したし、ルヴァンカップでは大勝することもあった。ただリーグ戦では、第8節の柏戦ででの勝利を合わせて2勝しか挙げられなかった。2勝2分4敗という成績でザーゴは鹿島を去ることになる。
準備期間がないなかでスタートした昨季もスタートで躓いている。しかし、今年は違う。
「コロナの影響で外国人選手の入国が遅れたり、未だ合流できない選手もいる。そこは気の毒だったとは思う。昨季で培ったベースに上乗せして優勝を目指せると考えていたが、開幕戦の敗戦から自信を無くし、やることが徹底できなかったように感じる。それを引きずって、なかなか立ち直れない、立て直せないというのも大きかった。
同時に、ザーゴ監督の選手に対する評価に迷いが多少あったのかなという気がしている。メンバーも入れ替わりたち替わりで、誰がベースになり、そこに誰が挑戦していくのかというポジション競争も作りきれていなかった」
結果だけじゃない「ザーゴ解任」決断の理由
鹿島アントラーズの練習場へ行くと、決まって目にするのが、トップチームのトレーニングをグラウンド脇のベンチで、静かに見守るジーコテクニカルダイレクターの姿であり、その横には同じようにベンチに座り、トレーニングを見ている鈴木FDの姿だ。