酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
一目瞭然なセパ格差・打者編 DH制を導入しないと差はさらに開く【巨人、ホークスに“8連敗”】
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byNaoya Sanuki/Hideki Sugiyama
posted2020/11/27 11:02
デスパイネが満塁ホームランなど活躍したソフトバンクと、亀井善行、ウィーラーが機能しきらなかった巨人。DHでも差がついてしまった
昨年のパ・リーグの指名打者部門のベストナインは、ソフトバンクのアルフレド・デスパイネで、指名打者として117試合に出場しているが、デスパイネ以外に指名打者で100試合以上出場した選手はいない(2位は楽天、ブラッシュの80試合)。
門田もケガをしたのでDHに収まった
実は球史を振り返っても、DH専門の選手は数えるほどしかいない。
<DHでの出場試合数5傑。 ()は他の守備位置での出場>
1 門田博光1376(外野1085)
2 L. リー 979(外野297 一塁23)
3 山崎武司885(外野400 一塁710 捕手8)
4 石嶺和彦833(外野503 一塁2 捕手68)
5 山本和範626(外野813 一塁4)
1000試合以上は南海、オリックスなどで活躍した門田博光だけ。その門田にしても外野で1000試合以上出場している。
筆者は1970年代に門田をよく見ていたが、若いころの門田は右翼を守り、鉄砲肩と言われた強肩でよく走者を刺していた。23歳の1971年には15補殺を記録している。しかし1979年春季キャンプで右足アキレス腱を断裂、以後は守備が難しくなったが、DHに専念して1988年には40歳で本塁打、打点の二冠王に輝いた。
「半休」で選手寿命を延ばすメリットも
DHのメリットの1つに、守ることが難しくなった選手の寿命を延ばすという部分がある。また守備に就くことができても、ベテランの中には「半休」が必要な場合がある。そんな打者の「止まり木」としてもDHは有効だ。さらに守備はよくないが打撃は捨てがたい打者にチャンスを与えたり、ツープラトンで左投手用、右投手用の打者に打席を与えることもできる。
DHは極めて使い勝手が良いポジションなのだ。
ちなみにMLBでもDH専門の選手は、DHで2029試合に出たデービッド・オルティーズ、1403試合に出たエドガー・マルチネスなど一握りの選手にとどまっている。多くのチームではDHをNPB同様「便利使い」しているのだ。