酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
一目瞭然なセパ格差・打者編 DH制を導入しないと差はさらに開く【巨人、ホークスに“8連敗”】
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byNaoya Sanuki/Hideki Sugiyama
posted2020/11/27 11:02
デスパイネが満塁ホームランなど活躍したソフトバンクと、亀井善行、ウィーラーが機能しきらなかった巨人。DHでも差がついてしまった
打数は少ないものの投手が戦力として機能していることがわかる。もちろん、打てない投手もいるが、一般的にナショナル・リーグの投手は、打撃面でも貢献しようと努力するのが当たり前になっているのだ。
MLBでは投手の本塁打は毎年十数本出ているが、NPBでは2017年は8本、2018年は6本あったが、2019年は0本。2020年は広島の大瀬良大地と阪神、西勇輝の各1本だった。
かつての大投手は打つ気満々だった
セ・リーグはDH制導入後も「投手も戦力になるべく努力する」という発想がなかった。むしろDH制が導入される以前の方が、投手はよく打っていた。
投手の通算本塁打数5傑()は実働
1金田正一 38本(1950~1969年)
2別所毅彦 35本(1942~1960年)
3米田哲也 33本(1956~1977年)
4平松政次 25本(1967~1984年)
5堀内恒夫 21本(1966~1983年)
かつての大投手は、打席でも打つ気満々だった。金田正一などは、登板のない日に代打で出場して本塁打を打ったこともある。
しかし昨今は、打撃が得意な投手はめっきり少なくなった。これは、チームがそれを求めていないことが大きいだろう。
現在の投手は、ホームベースから離れて打席に立ち、死球を食らわないようにそっとバットを振って戻ってくるケースが多い。先発投手は完投するために、指揮官から「三振しろ」と命じられることさえあるようだ。
見慣れた光景かもしれないが、競技として考えればこれは異様なことではないか。