JリーグPRESSBACK NUMBER
Jリーグで愛された安英学は今……。
ルーツに恩返しを続ける第二の人生。
text by
キム・ミョンウKim Myung Wook
photograph byYuki Suenaga
posted2019/10/07 11:40
現在は子どもから大学生まですべての年代で指導にあたっているという安英学。
自分がサポーターになる番。
5年、10年後のビジョンについて聞くと、「正直、なりたいものっていうのがないんですよ」と笑う。
「自分のことを一言で表すなら、“サポーター”です。朝鮮学校の子どもたち、そしてお世話になった立正大学サッカー部の学生たちの夢を信じて、支えてあげるサポーターになりたい」
同胞も日本人も分け隔てなく、自分を育ててくれ、支えてくれた人たちのために尽力することが生きがい――。安英学らしい言葉だと思う。
「それでも1つ具体的にあげるなら……」と、言葉をつなげた。
「在日の後輩たちの中からプロサッカー選手になり、代表選手になってW杯のピッチに立つ姿を見たいです。僕はベンチかスタンドにいて。その時はもしかしたら統一コリア代表チームになっているかもしれない。子どもたちの中には『自分もW杯に出たい』という子は多い。その光景を見られる日が来るのを夢見ています」
かつて自分が歩んだ狭き道をより広くし、明確な道しるべを示すことで、夢を現実に変えようとしている。安英学の情熱は、多くの後輩たちに受け継がれていくに違いない。