プロ野球亭日乗BACK NUMBER
巨人の下剋上を許さぬカープの凄み。
四球数とベンチワークが両者の差。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2018/10/19 12:00
菊池涼介に勝ち越し3ランを浴びた畠世周。畠はポストシーズンでの活躍を期待されていたが……。
巨人ベンチに甘さがあった。
ミスは許されないが、どんなに一生懸命プレーしても野球にミスはつきものである。広島としては、やるべきことはやり切っていた。そういう意味では気持ちも切り替えられる失点だったはずなのである。
巨人が8回に奪われた1点は、そのやるべきことをやり切らずに簡単にスコアリングポジションに走者を進めさせた、甘さからの失点だった。
「そやな。もうちょっと警戒せないかんかったな」
試合後にそのことを問うと、村田コーチはこう振り返った。
ただこれはバッテリーだけの責任ではないはずだ。バッテリーが打者を抑えることに汲々としているなら、むしろベンチが走者をケアするように指示を出さなければならない。
「牽制を挟め」
「1回外させろ」
ベンチからサインを出して1つひとつ、やるべきことを徹底させる。その徹底ができなかったベンチの甘さの方が罪は重い。
そう考えると広島の凄みと巨人の甘さが突出した試合であり、勝負の結末は必然だった。
個の力でしか勝つことができない。まさに高橋監督になってから3年間のベンチワークの脆弱さが、短期決戦ではっきりと出た試合だった。