プロ野球亭日乗BACK NUMBER
巨人の下剋上を許さぬカープの凄み。
四球数とベンチワークが両者の差。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2018/10/19 12:00
菊池涼介に勝ち越し3ランを浴びた畠世周。畠はポストシーズンでの活躍を期待されていたが……。
巨人は盗塁に全く無警戒だった!
1点差の2死一塁で、すかさず一塁走者には代走の上本崇司内野手が起用された。打席にはクリス・ジョンソン投手に代わる代打の新井が入った。
このシチュエーションなら広島ベンチが動いてくる可能性が非常に高いことは予想がつく。中でも最も警戒しなければならないのは、盗塁のはずだが、ここで巨人バッテリーが全く無警戒だったのである。
初球、2球目ともにカットボールで1ボール1ストライク。そこから真っ直ぐで空振りを取って次の1球はファウルだった。
ただこの間にマウンドの畠がまったく牽制の素振りも見せず、ボールを長く持ったりマウンドを外すなど、走者の動きを制する動きを見せていなかったのだ。
そして5球目に、上本に完璧に盗まれて走られた。
第1戦では2度の盗塁を刺している強肩・小林誠司捕手でもお手上げの完璧なスチールだった。直後に新井の左翼線二塁打が飛び出して、上本が同点のホームを走り抜けたのである。
実は同じような場面が6回に巨人が先取点を奪った場面でもあった。
ジョンソンの5球もの牽制球。
1死から1番の坂本勇人内野手がチーム初安打となる中前安打で出塁すると、マウンドのジョンソンは2番の田中俊太内野手の打席で、これでもかと5球も牽制球を投げて走者の動きを封じることに神経を注いでいた。さらに田中の内野ゴロで走者が入れ替わった後にも2度の牽制を試み、田中を一、二塁間に挟んでいる。
しかしこのとき一塁手のアレジャンドロ・メヒア内野手が送球の際にボールを掴み損ねて田中を二塁に行かせてしまった。そうして直後にケーシー・マギー内野手の二塁打で先取点を奪われた。
ただこの1点はある意味、仕方のない失点だったはずだ。
メヒアのミスは痛い。
しかし、盗塁やエンドランが考えられるシチュエーションで、走者に対して広島はきっちりプレッシャーをかけてはいた。