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2016年春のセンバツは群雄割拠!
優勝は桐蔭? 高松商?それとも……。
posted2016/03/16 10:40
text by
小関順二Junji Koseki
photograph by
KYODO NEWS
高校野球、春の選抜大会の組み合わせが決まる前日、出場32校の主将が意見交換をする「キャプテントーク センバツ2016」というイベントが行われた。恒例の優勝候補アンケートでは4年ぶりの優勝を狙う大阪桐蔭が10票を得てトップになり、昨年秋の明治神宮大会優勝校の高松商(香川)が4票で2位につけ、投打で注目される藤嶋健人を擁する東邦(愛知)が3票で続いた。
大阪桐蔭が高く評価されるのは完成度の高い左腕・高山優希(3年)と破壊力満点の打線が備わっているからである。高山はまとまりだけではない。昨年秋の明治神宮大会ではストレートがアッと驚く150キロを計測、将来を嘱望される本格派としてもスカウトたちから注目を集めている。伝統の強打は今年も健在で、新チーム結成以来、公式戦と練習試合を含む総合成績ではチーム打率.393を記録、これは32校中ナンバーワンである。
この大阪桐蔭を明治神宮大会準決勝で破った高松商は、記念すべき第1回選抜大会の優勝校にして春・夏通算54勝40敗を誇る古豪。ただし1965年以降の過去50年間では春が9勝9敗、夏が7勝11敗と負け越し、甲子園大会は20年ぶりの出場なので、選手たちに古豪の意識はないだろう。
大阪桐蔭の投打力に対する高松商の機動力。
高松商を選抜に導いたのは機動力だ。公式戦での通算33盗塁は出場校の中にあっては創志学園の36個に次ぐナンバー2。この高松商の中でも1番の安西翼(3年)が見せる俊足は大会屈指と評価してもいい。明治神宮大会の大阪桐蔭戦では先頭打者として第2、3打席で三塁打を放ち、いずれも次打者の犠牲フライとタイムリーで生還している。ちなみに、第2打席の三塁打のときの三塁到達タイムは私が昨年計測した中では5番目に速い11.06秒。これはプロの中に入っても上位のタイムである。
東邦で注目を集めるのは投打とも超高校級と評価される藤嶋健人(3年)。明治神宮大会1回戦の秀岳館戦では第3、4打席で2ランホームランを放ち、これがチームの全得点だった(4対2)。第3打席は1ボールからのストレート、第4打席は初球のスライダーを放ったもので、最初の一発は神宮球場の中段に達する特大のホームランだった。
ピッチングは最速146キロのストレートだけが突出せず、カーブ、スライダー、チェンジアップを交えて緩急を操り、新チーム結成後の奪三振率は練習試合も含めれば10.0に迫る。今年に入ってからもこの勢いは変わらず、3月12日の練習試合、県岐阜商戦では圧巻の14奪三振を記録している。