甲子園の風BACK NUMBER
野球応援のド定番「コンバットマーチ」。
その生みの親と初センバツの小豆島高。
posted2016/03/19 08:00
text by
梅津有希子Yukiko Umetsu
photograph by
Yukiko Umetsu
20日開幕の第88回選抜高校野球大会に初出場する小豆島高校。アルプススタンドの応援で大注目なのが、今大会で初披露となる応援曲「小豆島コンバット トゥギャザー」だ。
同曲は、聴けば誰でもわかる野球応援のド定番曲として知られる、早稲田大学の「コンバットマーチ」を作曲した、小豆島出身の早稲田大招聘研究員、三木佑二郎氏(写真)によるもの。ワーグナーの「ワルキューレの騎行」から着想し、荘厳で歯切れのよい曲に仕上げたという。
同曲をアルプススタンドで演奏するのは、小豆島高と、三木氏の母校でもある土庄高による合同吹奏楽団。両校は来春の統合で小豆島中央高となる。当初、三木氏は「小豆島コンバット アタッカーズ」など複数の候補曲を作っていたものの、曲調が複雑すぎたため、吹きやすい「小豆島コンバット トゥギャザー」を新たに作曲。今月15日に行われた両校吹奏楽部による練習では、三木さんが指揮棒を振り、直接指導した。
「練習時間が少なかったのでどうなることかと思いましたが、数回の合奏でピタッと決まりましたね。合併する両校や、島全体がひとつになって応援する意味を込め、曲名に『トゥギャザー』とつけました。試合当日は、この曲がどのように甲子園球場に響き渡るか、外野席あたりで聴いてみようと思っています」と話す。
野球応援を一変させた、早稲田の「コンバットマーチ」。
今や野球応援の定番曲として、多くの学校が吹く「コンバットマーチ」。
この曲は昭和40年、早稲田大学応援部の吹奏楽団に所属していた三木氏が作曲したもので、昨年満50年を迎えた。早稲田大学の曲とは知らず、一般的な「野球の応援曲」と思っている人も多いのではないだろうか。三木氏の同期で、応援団長だった元電通社員の速水正昭氏は、同曲が出来る以前の大学野球の応援スタイルについて、「電通社友会 会報」(116号)にこう記している。
「当時の応援スタイルは、ブラスバンドの伴奏で校歌や応援歌を歌い、拍手と声援で盛り上げる手法が主体でした。応援歌は数多くあり、そのひとつひとつに長々とした歌詞がついており、テンポは比較的ゆっくりとした行進曲調のものがほとんどでした」
「コンバットマーチ」は、昭和40年の早慶戦で華々しくデビューし、プロ野球や高校野球の応援に瞬く間に広まった。まさに、同曲が野球応援の歴史を塗り替えたといえるだろう。この大ヒット曲を生み出した、三木氏の半生を振り返ってみたいと思う。