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2016年春のセンバツは群雄割拠!
優勝は桐蔭? 高松商?それとも……。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byKYODO NEWS
posted2016/03/16 10:40
明治神宮大会の大阪桐蔭vs.高松商戦。高松商の1番打者、安西翼はセンバツ出場校の中でも屈指の俊足。
優勝候補・東邦vs.勢いの関東一。
次のブロックでは優勝候補の東邦が昨年夏に旋風を巻き起こした関東一の挑戦を受ける。関東一は劣勢が予想されていた東京大会の準決勝、決勝で帝京、二松学舎大付を破り、勢いに乗るチーム。“プロ注目”と言われるような選手はいないが、1番宮本瑛己(3年)は私が俊足の基準にしている「一塁到達4.2秒未満、二塁到達8.3秒未満、三塁到達12秒未満」を再三クリアする韋駄天。
たとえば、二松学舎大付戦では第2打席の二塁打で7.97秒、第3打席の二塁ゴロで3.95秒、第4打席の送りバントで3.75秒、第5打席の内野安打で3.98秒という異次元の走りを見せている。相手ディフェンス陣を攪乱させる存在としてこれほど頼りになる選手はいない。対する東邦の主力投手陣、藤嶋、近久輝(3年)はともに走者を一塁に背負ったときのクイックが1.0~1.1秒台という速さで対抗する。
木更津・早川の技巧が大阪桐蔭打線を苦しめるか?
5つ目のブロックでは初戦を順当に勝ち上がれば木更津総合と大阪桐蔭が2回戦で対戦する。木更津総合の早川隆久(3年)は鈴木昭汰(常総学院・3年)、高橋昂也(花咲徳栄・3年)、高山優希(大阪桐蔭)と並ぶ大会屈指の左腕。ストレートの最速は142キロと平凡だが、右肩の早い開きがないフォームとともに、セット(無走者でも)してから投げにいくまでのテンポが異常に速く、打者はタイミングを合わせるのに苦労しそうだ。
大阪桐蔭の主力打者、中山遥斗(3年)、永廣知紀(3年)、吉沢一翔(3年)は昨年夏の大阪大会で今年のドラフト1位候補・寺島成輝(履正社)を5対1で攻略しているので左腕に対する苦手意識はないが、鈴木は寺島とは異なる技巧に持ち味がある。術中に陥れ、大番狂わせを演じる可能性は十分ある。
花咲徳栄・高橋のストレートと秀岳館の強力打線に注目。
次のブロックでは花咲徳栄が登場する。高橋は前出の鈴木や早川にくらべれば速いストレートに特徴がある。対する秀岳館は打率4割超えを記録する九鬼隆平(3年・捕手)、木本凌雅(2年・一塁手)など強打者を前面に押し出した攻撃野球で対抗する。昨年の明治神宮大会では東邦の藤嶋から2点しか挙げられず惜敗したが、九鬼は8回に1点差に追いつく二塁打を放ち、木本は3安打を放ち藤嶋を攻略している。花咲徳栄の高橋を攻略する力は十分備えている。