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三笘薫25歳を愛する監督、デゼルビとは何者か?「現役時代は左利きのファンタジスタ」「面倒くさい選手でケンカも多かった」日本人が知らないデゼルビの正体
posted2023/04/16 11:02
text by
ルカ・ビアンキン/ガゼッタ・デッロ・スポルトLuca Bianchin / La Gazzetta dello Sport
photograph by
AFLO
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「ペップよりも最高の監督だ」
ロベルト・デゼルビの名は少しずつ世界に知れ渡ってきた。今から10年前に現役を引退して指導者の道に進み、2018年から指揮を執ったサッスオーロで気鋭の戦術家として台頭し、今季序盤に途中就任したブライトンで国際的な名声を獲得しつつある。日本のファンには、三笘薫の覚醒を促した指揮官として注目されていることだろう。
ただしどれだけステータスが上ろうと、デゼルビ自身に変化はない。注意深く、細部にこだわり、カルチョへの情熱に満ちた男のままだ。今も練習メニューは自ら考え、ピッチ上で直に選手を動かし、試合のあらゆる状況を想定し、対戦相手の研究にも余念がない。
プレースタイルには一貫性がある。イタリアの伝統である守備よりも、攻撃に重きを置き、何度も改良してはいるものの、“RDZ”(=Roberto de Zerbi、英国式の頭文字のニックネーム)のチームには常に独自の色がある。
「彼のアイデアは実に明確で、それは指導を受けた選手の血肉となっていくんだ」と話したのは、サッスオーロでデゼルビと共に働いたGKコーチ、フランチェスコ・ファリオーリだ。「私にとっては、最愛にして最高の監督だ。ペップ・グアルディオラよりもね」
先月までトルコのアラニヤスポルで監督を務めていたファリオーリが、その2人の名を挙げたのは偶然ではない。ファリオーリの恩師がデゼルビなら、デゼルビのメンターはグアルディオラと言える。実際に指導を受けたことはないが、デゼルビは現在マンチェスター・シティを率いるこのスペイン人指揮官の影響を大きく受けているのだ。
サッスオーロでもブライトンでもほかのクラブでも、デゼルビのチームはグアルディオラのそれのように後方からショートパスを繋いでいく。いや、今のブライトンを観れば、よりポゼッションのこだわりが強そうに思える。時には自陣深くの危険地帯でも二桁のパスを回し、そこから相手のプレスを剥がしにかかるのだ。そのため技術と知性に優れ、リスクを厭わない選手を起用する。
「現役時代はめんどくさい選手だったよ」
サッスオーロ時代に監督が唱えていたマントラがある。