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「実はスペインの決定機は多くなかった」三都主アレサンドロが冷静に解説+クロアチア戦展望…“推奨4-3-3の意外な配置”とは
posted2022/12/03 11:02
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
Takuya Sugiyama/JMPA
「いやあ、すごい、すごい。感動したよ」
いつも冷静で穏やかな口調のアレックスが、さすがに興奮していた。
グループステージ(GS)のドイツ戦、コスタリカ戦に続いて、最終節スペイン戦の感想を元日本代表左サイドバックの三都主アレサンドロに聞いた。
実はスペインの決定機は多くなかった
――ズバリ、日本の勝因は?
「ドイツ戦とほとんど同じ戦い方なんだけど、前半を押されながらも1失点で凌ぐと、後半に選手交代のカードを次々に切って追いつき、その勢いですぐに逆転して、終盤のピンチを抑え切る。この試合では、ドイツ戦よりもそのやり方が洗練されていた。
選手ひとり一人のハードワークの賜物であり、森保一監督の巧みなチーム作り、的確な采配と選手起用の成功でもある」
――とはいえ、スペインもドイツ戦をしっかり研究し、日本の戦い方は熟知していたはずです。それがなぜ、またしてもはまったのでしょうか?
「それは、スペインが『自分たちはドイツとは違う』と考えていたからじゃないかな。
選手個々のテクニックはドイツより上で、いくらでもボールが回せる。でも、失点した場面を除くと、実はスペインの決定機は多くなかった。日本の守備が、ドイツ戦よりさらに進歩していたからね」
鎌田は彼らしくないミスが多かった
――森保監督は、体調が万全ではないMF遠藤航とCB冨安健洋の代わりにMF田中碧とCB谷口彰悟を先発で起用。本来は右ウイングの伊東純也をウイングバックとして使い、久保建英を右シャドーとして、鎌田大地をトップ下ではなく左シャドーとして、そしてCFには前田大然を起用しました。
「伊東をウイングバックで起用したのは、どうしても点を取って勝たなければならないから。彼は守備もうまいしね。
前田を起用して高い位置からプレスをかけさせたのも頷ける。ただ、鎌田は攻守両面で彼らしくなかったね。前半、スペインは彼のサイドから多くのチャンスを作っていたし、攻撃では技術、状況判断の両面でミスが多かった」
――そして、後半の頭から久保に代えて堂安律を、長友佑都に代えて三笘薫を投入します。
「これが当たったね。前半の久保の出来が悪かったとは思わない。でも、チームが劣勢の局面で、なかなか彼にパスが渡らなかった」