Jをめぐる冒険BACK NUMBER
「切り替える」だけではダメな吉田麻也・三笘薫・鎌田大地ら“ミスの連続”… スペインとの“決勝”は「ドイツ戦前の気持ち」を持て
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2022/11/28 17:55
痛恨の失点に悔しさをにじませる吉田麻也。コスタリカ戦はチーム全体として、あまりにもミスが多かった
ちなみに、日本はドイツ戦からスタメンを5人入れ替えてコスタリカ戦に臨んだ。コスタリカを舐めていたなどということはなく、ターンオーバーは森保監督が9月シリーズで公言し、時間をかけて準備してきたものだ。指揮官が言う。
「ターンオーバーに関しては、まったく後悔していません。結果がダメだったからやったことがダメだったと第三者には見られるかもしれませんが、ドイツとの戦い、今日のコスタリカ戦も非常にインテンシティの高い戦いで、さらにスペインと激しく厳しくインテンシティの高い戦いをする中で、我々が勝つ確率を上げられるように、ということで選択をした」
こうした指揮官の考えを理解していたから、ドイツ戦でフル出場した鎌田と遠藤航もスタメンから外し、南野と柴崎岳を先発起用するのではないか、とこのコラム(#8)でも予想したくらいだ。「26人全員の総力戦」を謳ってきたわけだから、彼らへの信頼を示すべきだった。
2戦フル出場の鎌田と遠藤の出場が難しくなったが
結果として2試合続けてフル出場となった鎌田と遠藤の2人は、これでスペイン戦での起用が難しくなった。森保監督はコスタリカに勝ってグループステージ突破を決めるつもりで彼らを連続出場させたに違いないが、計算が狂ったのではないか。
日本がコスタリカに敗れた9時間後、スペインとドイツが引き分けに終わった。これでグループEの順位は1位:スペイン(勝ち点4)、2位:日本(同3)、3位コスタリカ(同3)、4位:ドイツ(同1)となり、日本は決勝トーナメント進出を懸けて本気のスペインと戦わなければならなくなった。
だが、もし2連敗を喫していればグループステージ敗退が決まっていたわけで、ドイツに勝ったからこそ、スペインへの挑戦権を得られたのだ。そこは胸を張っていい。
スペインとの“決勝戦”は、ドイツ戦の前と同じようにワクワクした気持ちで迎えるべきだ。間違っても追い込まれた心境になってはいけない。
そして、スペイン戦ではヒーローとなる野心を持ち、フレッシュで、闘える選手の躍動に期待したい。例えば――久保建英、前田大然、南野、柴崎、田中碧あたりに。
<つづく>
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。