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「なぜミトマを先発させない?」「ヨシダは大きくクリアでよかったはず」現地でコスタリカ戦を取材した海外記者の本音…日本をどう見た?
posted2022/11/28 18:40
text by
セルヒオ・レビンスキーSergio Levinsky
photograph by
Getty Images
「結果はアンフェア」「じつに悔やまれる」
この結果はアンフェアなものだったかもしれない──アハマド・ビン・アリ・スタジアムで日本がコスタリカに0-1で敗れた時、記者席で試合を観ていた筆者は、率直にそう思った。
ポゼッションは48%対39%(13%は中立)、シュート数は14本と4本、枠内シュート数は3本と1本。いずれのスタッツでも日本が上回ったが、90分間で唯一のシュートを決めたのはコスタリカだ。つまり、彼らはこの一戦で放ったたった一本の枠内シュートをゴールに結びつけ、劣勢を覆して貴重な勝ち点3を掴み、決勝トーナメント進出の望みを繋いだわけだ。
初戦で優勝候補のひとつに挙げられるドイツを2-1で下した日本からすれば、じつに悔やまれる2戦目になった。単純な力量差では、コスタリカはドイツよりも数段劣る。ここで2連勝して、早めにグループステージからの突破を決めたかったところだろう。そして日本の森保一監督は、ドイツを下した手法に自信を持ったからか、この日も堅いシステムで臨んだ。4-2-3-1のフォーメーションを組んでまずは相手の様子をうかがい、途中で形を変えて敵陣に綻びを作ろうとしているように見えた。
しかし当然ながら、コスタリカはドイツではない。この中米の小国は北中米カリブ海予選で4位となり、大陸間プレーオフでニュージーランドに競り勝って本大会行きをなんとか決めている。予選では14試合で13得点しか挙げられず、それは5位で予選敗退に終わったパナマより4ゴールも少ない数字だ。現在のFIFAランキングで31位(日本は24位、ドイツは11位)につけるコスタリカは、守護神ケイロル・ナバスを中心とした堅守を拠りどころにW杯本大会に辿り着いたチームなのだ。
ところがそんな彼らは初戦のスペイン戦で、自慢の守備陣を切り裂かれ、いたるところを蹂躙されて0-7の大敗を喫していた。これによりコスタリカが逆に吹っ切れて攻撃的に戦ってくると、日本の首脳陣は予想したのかもしれないが、実際のコスタリカは勝ち点1の確保を第一義にしているようだった。カウンターアタックを仕掛けられる場面でも、前線に駆け上がろうとする選手が少なく、とにかく引いた守備ブロックを維持しようとしていた。
「伊東を外したことは逆効果」「三笘は先発させてもよかった」
そんな相手を向こうに回し、日本は慎重に試合を進めていった。ドイツ戦から先発メンバーを5人交代させたこと自体は、うちひとり(酒井宏樹)が負傷者だったこともあり、理解できないものではない。