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「スペインが嫌がる秘策2つ」を仕掛けろ! 鎌田大地が知る「バルサ粉砕3バック」、もう1つのヒントは田中碧の言葉「1枚残さずに」
posted2022/12/01 11:02
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
Takuya Sugiyama/JMPA
左シャドーの鎌田大地がインテリオールのペドリを背中で消し、ピボーテのブスケッツを間接視野に入れながら、センターバックとサイドバックに睨みを利かせる――。
日本時間の12月2日早朝に行われるスペイン戦の想像ではない。実際にピッチ上で展開した光景だ。
4月14日、ヨーロッパリーグ準々決勝の第2戦。鎌田の所属するフランクフルトは敵地でバルセロナを3-2と粉砕し、準決勝へと駒を進めた。
鎌田にとってバルサは、少年時代からの憧れのチームである。ガンバ大阪ジュニアユース時代には毎週のように試合をチェックし、スペイン遠征も経験した。グアルディオラに率いられた当時のバルサは、シャビ、イニエスタ、メッシらを擁してこの世の春を謳歌していた。
それから十数年が経ち、憧れのチームから勝利をもぎ取ったのである。
「バルサは先を行っている感覚があった。でも戦ってみて、リスペクトし過ぎる自分がいたなと思いましたね」
だから、鎌田はスペインが勝てない相手だとは思っていない。
「失点せずにゼロで進めて、コンパクトに守備をやっていけば、チャンスは必ず訪れる。どれだけいい守備からいい攻撃に繋げられるか、だと思います」
スペインにも「前もっていろんな準備を」
11月27日のコスタリカ戦を終えてから、日本代表チームは急ピッチでスペイン対策を落とし込んでいる。
「戦術のところでチームから指示が出ているし、選手同士でもいい話し合いができている。この3試合のなかで一番くらい議論が出ているので、スペイン戦をいい状態で迎えられるかなと」
そう語ったのは、相馬勇紀である。コスタリカ戦でW杯デビューを飾った韋駄天は、ディスカッションの様子をさらに詳しく伝える。
「5、6人でいろんな方面から話し合いながら、みんなが意見しています。中心となるのは(吉田)麻也さんですけど、そこにコーチングスタッフもいて、みんなで話している感じ。選手、スタッフでボードを見ながら話しています」
とはいえ、コスタリカ戦翌日は戦術トレーニングをこなせなかったから、準備期間はわずか2日。この間に対戦国についての分析を、チームに浸透させられることができるのか――。
そんな疑念を、森保一監督は振り払う。
「W杯で対戦するのは以前から決まっていましたし、スペインの中心選手や戦術面に大きな変化はないので、前もっていろんな準備をしてきました。そのうえで直近2試合と何が違うのか、我々が新たに何を準備したほうがいいのかは考えていきたい」