Jをめぐる冒険BACK NUMBER
「切り替える」だけではダメな吉田麻也・三笘薫・鎌田大地ら“ミスの連続”… スペインとの“決勝”は「ドイツ戦前の気持ち」を持て
posted2022/11/28 17:55
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
Kiichi Matsumoto/JMPA
ディス・イズ・フットボール、あるいは、これがサッカーの怖さ――。
そんなお決まりの言葉では片付けられない、信じがたい敗戦だ。
ボール支配率は48%:39%(13%がどちらでもない時間)。
後半に限っては57%:24%。
シュート数は14本:4本。
コーナーキックの数は5本:0本。
パス成功数は510本:371本。
すべての数字が日本優位を示している。
おまけにこんな数字まである。英国のスポーツ分析会社「Opta」によると、コスタリカが日本のペナルティエリア内に侵入したのは、わずか2回――。
それにもかかわらず、日本はカタールW杯グループステージ第2戦でコスタリカに0-1で敗れてしまった。歴史的勝利をあげたドイツ戦のあと、選手たちは「次の試合に負ければ、この勝利の意味がなくなる」「第2戦こそ重要」と口をそろえていたというのに……。
各選手が立て続けに起こしてしまった痛恨のミス
痛恨のミスは80分から81分にかけて立て続けに起こった。
日本の左サイドからボールを持ち込まれ、三笘薫が立ち塞がったものの簡単に侵入を許すというミス。相手3人を4人で囲んだにもかかわらず、誰も寄せずに裏に蹴られてしまうミス。
そのボールを伊藤洋輝がヘディングで跳ね返したが、パスを繋ごうとした吉田麻也が自陣のピッチ中央へ中途半端なロビングのボールを蹴ってしまうミス。
それを守田英正がスライディングでクリアしようとして相手に拾われ、置き去りにされるミス。
「セカンドボールの拾い合いになったとき、相手より早く触ってクリアする狙いで(スライディングを)やったけど、結局それで僕が死に体のようになって入れ替わられたので、落ち着いて正対することもできたんじゃないかと」
守田がそう悔やめば、吉田もこう振り返る。
「繋げるスペースがあったけど、(パスのボールが)高すぎたし、時間的にも前(に蹴る)でも良かったのかなと思います」
失点の過程を追及、共有しなければならない
ミスの連鎖はそれだけでは終わらない。
伊藤がディフェンスラインの後方にひとりだけ残ったことでオフサイドを取れず、相手選手へのマークも怠るミスを犯す。さらに、相手のループ気味のシュートに対して、GK権田修一がタイミングを合わせそこない、ボールを弾き出せずに……。
これだけミスが重なれば、失点につながるのも当然だろう。
「僕からのミス、球際で負けたところからだったので、あれがなければ失点もないですし、そこは申し訳なかったと思います」と三笘は言葉を噛み締めるようにして言った。