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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「やっぱり斎藤佑樹の人生は美しくて格好いい」同期入団・谷口雄也がともに過ごした鎌ケ谷の日々を語る「斎藤さんは悪いときこそファンを大事に」
posted2025/05/17 11:02

2014年、同期入団の斎藤佑樹と谷口雄也がクライマックスシリーズ進出を決めた一戦で投打のヒーローに
text by

熊崎敬Takashi Kumazaki
photograph by
SANKEI SHIMBUN
「佑ちゃんフィーバーと言われていますが、ぼくも雄也。ユウちゃんです。ファイターズ魂で谷口ユウちゃんもがんばります!」
ファイターズの二軍の本拠地、鎌ケ谷スタジアムでの新入団歓迎式典で満員の観衆を沸かせたのは谷口雄也。斎藤と同じ2010年にドラフト5位で指名され、斎藤とともに21年にユニフォームを脱いだ男は、このときすでに焦りがあったという。
自分だけ甲子園に出たことがない
「ドラフト指名されたときは、斎藤さんと同じということより、2位指名の西川遥輝(現ヤクルト)に意識が向いていました。彼とは中学時代に対戦したことがあって、しかもぼくと同じ右投げ左打ちの外野手。よくそんな高卒新人をふたりも獲ったなと思いました。
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で、その次にみんなの名前を見て思ったのが、みんな甲子園組だということ。甲子園に出たことがないのはぼくひとりだけで、新人合同自主トレのときから劣等感を抱いていたんです」
そんな新人の心境を見透かしてか、球団スタッフが式典の前に「谷口、このままじゃ埋もれてしまうぞ」とハッパをかけた。
「そうなんです。その言葉に背中を押され、自分の殻を破らなきゃと思ってとっさに出てきたのが、あの言葉でした。あの日の鎌ケ谷はものすごい人出で、空を見上げるとヘリが飛んでいました。北海道の新聞が、ぼくのコメントを大きく取り上げてくれたのを憶えています」
すぐに仲良しグループに
斎藤の人気、知名度が突出していた2010年ドラフト組だが、すぐに仲良しグループになった。というのも、1位の斎藤と3位の乾真大、4位の榎下陽大は大学ジャパンからの顔なじみで、唯一の社会人経験者である6位の齊藤勝がムードメーカーとなり、谷口、西川の高卒組も含めた交流をしていたからだ。