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「こんなところで浅尾を投げさせちゃ駄目です」中日監督・高木守道と衝突した日… “コーチ時代は沈黙貫いた”近藤真市56歳の本心「岩瀬を守れなかった」
posted2025/05/15 11:39

選手、コーチ、スカウトとして中日一筋のキャリアを歩んだ近藤真市。インタビューで明かした「心残り」とは
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森合正範Masanori Moriai
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なぜ、タイプの違う星野と落合を慕うのか?
――星野仙一さんと落合博満さん。「おやじ」と慕っていますが、一般的には対照的な二人のような気もするのですが。
「似ていないですね」
――近藤さんから見た二人の違いは。
「ミスしたら怒るけど、どんどん使うのが星野さん。殴られたりするのは見ていて嫌ですけど、必ずチャンスをくれます。落合さんは最初に選手を一通り使う。でも勝負事なんで、使えないと思ったら、もう……ってことです」
――なぜ違う二人を尊敬するのでしょうか。
「僕の性格と野球観じゃないですか。僕の性格分かるでしょ。星野さんタイプだよね。勝負なのに、みんなヘラヘラしていると思っちゃうし、今は他球団の選手と仲いいでしょ。それでは厳しいところ投げられないし勝負にならない。野球観というのは落合さん。観察力と、選手をどう動かすか。これは見習うべきことですよね。だから僕は二人でした」
媚びることなく、派閥に入ることもなく、己が正しいと思う道を歩んできた。
高木守道と衝突した日「こんなところで浅尾を…」
落合からブルペンを任されて、衝突することはなかった。だが、2012年から高木守道が監督となった。「Join us ファンと共に」をチームスローガンに、ファン重視の野球へと大きく舵を切った。
ある日、監督とぶつかった。
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負け試合で浅尾拓也を起用するという。投手を預かる立場として、彼らにはそれぞれ投げるポジションがある。近藤の目から見て、浅尾はこの試合展開で投げる投手ではない。
「こんなところで浅尾を投げさせられません。投げさせちゃ駄目です」
だが、高木からすれば、ファンが見たい浅尾を起用するのは自然な流れだった。
「俺が監督なんだ、俺が投げさせろと言ったら投げさせろ!」