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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「攻撃の“設計図”を共有しきれていないのでは」中村憲剛が指摘する森保ジャパンの修正点「鎌田、久保らのインサイドハーフ起用は…」
text by
中村憲剛+戸塚啓Kengo Nakamura + Kei Totsuka
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2022/06/21 17:02
0対3で完敗を喫したチュニジア戦後、ピッチで雨に打たれながら厳しい表情を見せる森保一監督
最終ラインには吉田、冨安、板倉滉、谷口彰悟、中山に加えて、伊藤洋輝が加わってきました。伊藤は国際Aマッチデビューでも物怖じすることなく、所属クラブとは違うポジションの左SBを無難にこなしていました。
中山とキャラクターが似ていますが、彼の高さは攻守でストロングポイントになる。左足のキックは持ち味で、アーリークロスも出せる。6月シリーズの収穫にあげられるでしょう。
今回は招集されていませんが、DFラインには酒井宏樹もいます。5バックをオプションにできるだけの人数は揃っています。戦況に応じて複数のシステムを用いる下準備を、短い時間ですが試すことができました。これは、小さくない収穫だったと思います。
攻撃の“設計図”は共有されていたか?
攻撃面に目を移すと、今回の6月シリーズには「大迫勇也不在で攻め筋はどうなる」というテーマがありました。3トップの中央では浅野拓磨が2試合に先発し、古橋亨梧と上田が1試合ずつ先発しました。前田大然は3試合に途中出場しました。
4人とも大迫とはキャラクターが違います。大迫に近いと言われる上田にしても、プレースタイルが重ならない部分はある。僕自身は、「彼らを3トップの中央に置く理由が、チームのなかで共有されていたのか」という点が気になりました。
スピードを強調すると、早いサッカーになります。浅野、古橋、前田らは、チャンスと見たら相手最終ラインの背後に走るタイプなので、最前線でタメを作る動きは多くありません。
上田はポストプレーもしますが、ガーナが5バックを敷いてきたとはいえ、相手陣内の高い位置でタメを作るプレーができたのか。上田だけでなく3人のFWも含めて、最前線中央で1秒、2秒とタメを作ることで、周りの選手が危険なエリアに入っていくシーンは多くなかったでしょう。
6月シリーズの攻め筋では、最終的に誰が点を取るのかがはっきりしませんでした。つまりそれは、「3トップ中央にこの選手を置く」理由と「どう得点を取るのか」という設計図が、チーム間で共有しきれていなかったと考えられます。