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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
中村憲剛の視点「伊東純也と三笘薫は、W杯では相手にかなり分析される」 完敗チュニジア戦で「不在の影響を感じた」ある選手とは?
posted2022/06/21 17:01
text by
中村憲剛+戸塚啓Kengo Nakamura + Kei Totsuka
photograph by
Kiichi Matsumoto/JMPA
チュニジアに完敗したことで、日本代表の評価が揺らいでいる。
ショッキングな敗戦ではある。ただ、3月までアジア勢との戦いが続いていたチームには、必要な刺激だったとも言えるだろう。
最終予選から持ち越されてきた課題に、解消の目途は立ったのか。W杯を見据えてアップグレードすべき要素はどこにあるのか。元日本代表でW杯出場経験を持つ中村憲剛氏に分析してもらう。(全2回の1回目/後編へ)
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6月シリーズで最初に触れるべきは、「4試合できたこと自体が収穫」ということです。コロナ禍でまとまった強化の時間が取れなかった日本代表にとって、今回の4試合+トレーニングという長い時間を共有できたことは、とても大きなものになったと思います。
また、対戦相手も南米勢のパラグアイとブラジル、アフリカ勢のガーナとチュニジアで、それぞれにスタイルが異なり、前線から圧力をかけてくるチームがあれば、自陣にブロックを敷くチームもあり、4バック、3バック、5バックと試合中に戦術的な狙いを変えてくるチームもありました。様々なスタイルのサッカーに触れることができたのは、引き出しを作るという点においても今後につながると考えていいでしょう。
ビルドアップにチャレンジしたことは評価したい
日本代表はカタールW杯アジア最終予選で構築してきた4-3-3を、4試合を通してスタートから用いました。攻撃では後ろから丁寧にビルドアップして相手陣へ侵入を試み、自分たちが武器とする選手をうまく使ってゴールを奪う。守備では前から果敢にプレスをかけて、ショートカウンターを狙う。
そうした狙いが、パラグアイ戦とガーナ戦では勝利につながりました。一方で、ブラジル戦とチュニジア戦では、なかなかやらせてもらえませんでした。
個人的に評価したいのは、ブラジル相手にもビルドアップをチャレンジし続けたことです。ただゴールキックを蹴るのではなく、CBにつなぎながらビルドアップで前進を試みました。
奪われてショートカウンターを食らうこともかなりあったので、リスク回避のために蹴れば良いじゃないかという声もあったでしょう。けれど、リスクを抑えるためにロングボールに終始していたら、あのブラジルのプレスの圧力を何とかかいくぐろうとすることで得られるものは、少なかったと思います。