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《チュニジアに完敗》森保ジャパンの現在地は「W杯ベスト8入りの目標とかけ離れている」…限られた時間で“しかるべき成熟”は可能なのか
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2022/06/15 17:01
6月14日、チュニジアに0対3で敗れたサッカー日本代表。試合終了のホイッスルを聞き、キャプテンの吉田麻也はがっくりと肩を落とす
多くの選手を起用したことで、コンビネーションが噛み合わなかったところはあっただろう。チュニジア戦後の森保監督も、ミスについては「選手の組合せ」によるところが大きいと説明している。
残り2試合での成熟は「相当にタフなタスク」
そのうえで言えば、カタールW杯までのテストマッチは残り2試合である。9月のインターナショナルマッチデイを終えたら、次はもう11月23日のドイツ戦だ。W杯直前にテストマッチや練習試合を組めたとしても、最終的な調整の機会になる。何か新しいものを試す機会ではない。
今回の6月シリーズで、ポジションごとの選択肢は増えた。チームの可能性は高まったと言えるが、時間は限られている。バックアップ層を含めたコンビネーションを、W杯本大会で、自滅的なミスをしないレベルにまで持っていくことができるのか。「あと2試合」でスタメンとオプションを並行して成熟させるのは、相当にタフなタスクと言わざるを得ない。
W杯のベスト8入りが簡単でないのは、6月シリーズの前から分かっていたことでもある。W杯に出場してくるようなチームとの対戦で、失点につながるミスが起こり得ることも、新たな発見ではない。日本は世界のトップ・オブ・トップではないのだから、格上や同レベルとの試合でミスをしてしまい、それが自分たちを追い詰めてしまうのはある意味で当然である。
ミスを減らすことを最優先するなら、10年の南アフリカW杯のような戦い方をすればいい。自分たちの良さを相手にぶつけるのではなく、相手の良さを消すことに優先順位を置いたサッカーだ。
しかし、森保監督のチームは、自分たちからアクションを起こすサッカーでベスト8入りを目指そうとしている。守備を固めてカウンターに活路を見出すことが戦い方の最上位ではないが、カウンターはもっと突き詰めていい。
スピード豊かで背後へのランニングに優れる浅野、古橋、前田大然といった選手がいる。彼らの個性を最大限に引き出すことを、攻め筋として確立するべきだ。