日本の現在地を真正面から受け止めるべき

　ひとつのミスもまた重い。

　チュニジア戦の失点は、すべてミスからだった。55分にPKを与えてしまい、76分には連係ミスに絡んだ吉田麻也が責められているが、彼ひとりの責任ではない。チーム全体で招いた失点だった。

PKを与えて頭を抱える吉田麻也　©Kiichi Matsumoto/JMPA

　もっと言えば、前3試合で喫した失点も、ミスや安易なボールロストをきっかけとしている。

　6月2日のパラグアイ戦から、中3日で4試合を消化してきた。全試合に先発した吉田や遠藤航のような選手がいれば、三笘薫のように先発と途中出場を交えつつ全試合でピッチに立った選手もいた。海外組は長いシーズンを終えたばかりでもある。パラグアイ戦とチュニジア戦では、疲労感に違いもあっただろう。

　しかし、カタールW杯も中3日か中4日で試合が組まれている。今回とほぼ同じスケジュールでグループステージの3試合を戦い、ラウンド16で勝利しなければ、ベスト8に到達することはできない。

　チームの目標に照らし合わせれば、チュニジア戦は物足りない。チャンスで決められなかったことも、ミスを失点に結びつけられてしまったことも、日本の現在地として真正面から受け止めるべきだ。

オプションの増加という収穫も

　3月のW杯最終予選後初のテストマッチということもあり、森保監督はこれまで出場機会の少なかった選手や、国際Aマッチデビューの選手を起用した。これまでとは違うポジションで起用された選手もいた。

　最終予選の途中から基本システムとなった4－3－3の配置で、原口元気と鎌田をインサイドハーフに置いた。遠藤をアンカーに置き、守田英正と田中碧がインサイドハーフを務めてきた中盤に、より攻撃的なタレントを起用するオプションにトライした。久保建英もインサイドハーフでプレーした。

鎌田大地のインサイドハーフ起用は定着するか　©Kiichi Matsumoto/JMPA

　初招集の伊藤洋輝は、左サイドバックで3試合に先発した。それに伴って、長友佑都が右サイドバックでピッチに立った。冨安健洋の復帰が見送られたセンターバックでは、吉田を軸に板倉滉と谷口彰悟、さらに伊藤が起用された。

　大迫勇也が不在の前線では、浅野拓磨、古橋亨梧、上田絢世が先発した。

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