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《チュニジアに完敗》森保ジャパンの現在地は「W杯ベスト8入りの目標とかけ離れている」…限られた時間で“しかるべき成熟”は可能なのか
posted2022/06/15 17:01
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Kiichi Matsumoto/JMPA
パラグアイ、ブラジル、ガーナ、チュニジアと対戦した6月の4試合で、はっきりしたことがある。
森保一監督が率いる日本代表は、来たるカタールW杯で「過去最高の成績」をターゲットとしている。それはつまり、これまで3度阻まれてきたベスト16の壁を越えることを意味する。
だが、現時点でその力はない、ということがはっきりと示された。
改めて噛み締めたい「決定機を逃す重み」
カタールW杯出場を逃したパラグアイには、4対1で勝利した。W杯出場国ではあるものの、来日前にアフリカネーションズカップの予選を戦い、主力選手を欠いた状態で来日したガーナにも4対1で快勝した。
一方で、W杯に照準を合わせるブラジルとチュニジアには敗れた。ブラジルには0対1で、チュニジアには0対3である。ただ負けただけでなく、得点を奪えなかった。
6月14日のチュニジア戦は完敗だった。相手は身体能力と技術に優れた選手が揃っていた。「個」のクオリティが高い好チームで、結果は論理的なものだったと言っていい。
先制するチャンスはあった。28分、FKからの流れで南野拓実がゴール前でシュートチャンスを得る。右足を振ったが、ジャストミートできなかった。
35分にはビッグチャンスをつかむ。伊東純也が右サイドを駆け上がり、GKとDFラインの間へクロスを通す。ファーサイドから詰めた鎌田大地は、目の前のゴールに押し込むだけだったが、スタンドが歓喜の拍手に包まれることはない。シュートは枠を逸れてしまった。
どちらかひとつでも決まっていれば、試合の行方は違っていたかもしれない。だが、これまで何度「あれが決まっていれば」と悔やんだことだろう。森保監督の指揮下でも、たとえば21年10月のサウジアラビア戦で──前半29分、大迫勇也がGKと1対1になるが、先制機を逃した──同様の思いに駆られた。敗因を探れば決定機逸に辿り着き、試合のレベルが上がるほどひとつのチャンスが重みを持つ。