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「史上最悪のシーズンだったよ」大谷翔平が消えた“エンゼルスの今”…球団ワースト99敗、番記者に聞いた「ファンはオオタニにモヤモヤ」「スタジアムはガラガラ」
posted2024/10/25 17:26
text by
田中仰Aogu Tanaka
photograph by
Getty Images
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あまりに対照的だ。青と赤、常勝と弱小、ポストシーズンで戦うチームとシーズンが終わったチーム、大観衆が沸く球場と閑古鳥が鳴く球場。同じロサンゼルスをチーム名にもつ2つの球団の現状は、残酷なまでに明暗が分かれている。
63勝99敗――。
2024年シーズン、ア・リーグ西地区で最下位に沈んだエンゼルスの成績である。これで9年連続のシーズン負け越しとなり、勝率はじつに.389。99敗は球団ワースト記録であった。
かたや、背番号の「17」はそのままドジャースへ旅立った大谷翔平は、皮肉なまでに飛躍を遂げた。メジャー史上初となる50-50を達成し、本塁打王と打点王に輝く。ムーキー・ベッツやフレディ・フリーマンというMVP受賞者ら、スター選手がそろうチームにあっても異質な存在感を放っていた。メッツとのリーグ優勝決定シリーズでもそうだ。ドジャースタジアムで注がれる歓声がチームで随一なら、ファンが着るユニフォームで最も目にするのも「OHTANI」。移籍してわずか1年。今や誰の目にも疑いようのない「ドジャースのオオタニ」になった。
そこで思う。ポストシーズンで勝ち抜けるドジャースを、昨年と変わらずに活躍する大谷を、エンゼルスファンはどんな心境で見つめているのか。なぜ大谷が去ったエンゼルスは99敗を喫したのだろうか。
「史上最悪のシーズンだった」「アナハイムはガラガラ」
ドジャースとメッツ第2戦の試合前、ドジャースタジアムのメディア席で隣に座った米誌『スポーツ・イラストレイテッド』記者、ニック・セルベ氏(32歳)にインタビューすることができた。アナハイムにほど近い南カリフォルニアの都市、サイプレスで生まれ育ったニック記者は、地元球団の今シーズンを「史上最悪のシーズンだった」と振り返る。
「ファンは非常にイライラしていると思う。オオタニが在籍した最後の2シーズンもひどかったけど、今年は99敗だからね。来るところまで来たと言うべきか、チーム状態はどん底だ。何より悲惨なのは、チームが強くなる未来が見えないことだよ」