大学野球PRESSBACK NUMBER
「就活も一番強そう」東大野球部の“超エリート”でも就職氷河期は苦しんだ?「1位は三菱商事、ANA」東大野球部の就職先ランキング《02年~11年編》
text by
沼澤典史Norifumi Numazawa
photograph byBUNGEISHUNJU
posted2022/06/11 11:02
東大野球部時代の松家卓弘(左、2004年撮影)。04年ドラフト9巡目でベイスターズ入り。右は捕手の升岡大輔。この松家らの世代を含む「02年~11年」の東大野球部エリートたちの就職先ランキングを調査した
成澤良(選手兼マネージャー・04年卒)もNHK記者になった。09年には、総理番として当時の鳩山由紀夫総理に張りつき、現在は都庁担当となって、コロナ禍における小池都政の動きを追っている。古垣弘人(外野手・10年卒)は、現在は安倍派を担当。井出庸生だけでなく、東大野球部OBと政治は親和性が高いようだ。
NHKのほかには、関西テレビと九州朝日放送に卒部生が進んでいる。東大野球部における放送業界の人気は安定しているが、その一方で密接だったはずの広告業界は、大きく評価を落とした。先の10年間では電通への入社は6人にのぼったが、この期間では1人にとどまっている。
広告業界と同じく大きく人気が落ちたのが、銀行業界だ。就職者は、前回と比べて大きく減少し(14人→5人)、就職者に占める比率も11%も落ちている(23%→12%)。92年~01年までは、日本開発銀行や日本長期信用銀行、日本興業銀行への入行が多かったが、90年代後半に相次いだ統廃合を目の当たりにすれば、銀行業界を敬遠するのも当然か。ただ、金融業界自体の安定と高給は健在で、生損保業界は相変わらずの人気を集めている。
大学院進学組も全体の2割近くを占めている。学部が明記され始めた03年からの資料を見ると、農学部、工学部、理学部と圧倒的に理系学部生が多い。大学院へと進んだ彼らが、その後どんな活躍を見せているかは、稿を改めて詳しく追っていきたいところだ。
「プロ野球1人、社会人野球2人」のその後
ここからは、野球継続者についても触れていきたい。
この10年間にプロへ進んだのは、松家卓弘(投手・05年卒)。彼は高松高校時代の2年秋、3年春に県大会準優勝を果たした実力選手だ。当時はプロから注目されるも、進学の道を選び、東京大学に現役で合格した。東大時代は3勝を挙げ、チームに貢献。ドラフト9巡目で横浜ベイスターズに指名されると、国際協力銀行の内定を蹴って入団した。最速152キロのストレートを武器に活躍が期待されたが、トレードされた日本ハムファイターズにて故障に泣き、12年に戦力外通告を受けた。現在は、地元香川県の高校教員となり、後進の育成に励んでいる。