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10年前、長谷部誠が語っていた「アウェイの教訓」とは… ザック、ハリルでも勝てなかった“ホームのオーストラリア”との激闘譜
posted2022/03/23 17:03
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Shigeki Yamamoto
ホームのオーストラリアは強い。
W杯最終予選では、強さがさらに増す。
2006年にオセアニアからアジアへ転籍したオーストラリアは、最終予選のホームゲームで通算13勝4分の成績を残してきた。W杯予選のホームゲームで黒星を喫したのは、08年6月の南アフリカW杯3次予選の中国戦だけである。0対1で敗れたその一戦も、最終予選進出を決めた後の消化試合だった。
闘莉王が言った「オレらはチャレンジャー」
日本は過去3度の最終予選で、すべて対戦している。
南アフリカW杯の最終予選では、09年6月17日の最終戦で激突した。ともに予選突破を決めており、日本は中村俊輔、遠藤保仁、大久保嘉人、長谷部誠、本田圭佑の5人がチームを離れていた。6日のウズベキスタン戦で退場処分となった長谷部は、出場停止でもあった。また、中澤佑二が欠場していた。
岡田武史監督は「ウズベキスタン戦のあとはフィジカル、メンタルともに私の想像以上に消耗していた。燃え尽きた感じがあったが、ここへ来て最後の試合ということでモチベーションもコンディションもリカバリーできている」と話した。負けても失うもののない一戦だが、「オーストラリアには勝ち点2差をつけられている。勝って勝ち点で上回る」と、勝利への意欲を言葉にした。
中澤不在の最終ラインを束ねる田中マルクス闘莉王は、挑戦者のメンタリティを強調した。
「オーストラリアは最終予選で1点も取られてない。はっきり言って強烈なチーム。オレらはチャレンジャーとして思い切ってやらないと」
39分に先制点を奪ったところまでは、理想的な展開だっただろう。中村憲剛の左CKから、闘莉王がティム・ケーヒルに競り勝ってヘディングシュートを突き刺した。
しかし後半は、リスタートを強みとする相手に不要なファウルでセットプレーを与えてしまう。59分にはFKからケーヒルのヘディングシュートを浴び、同点に持ち込まれた。77分には相手の右CKから、またもケーヒルに決められてスコアを引っ繰り返された。
1対2のまま押し切られた試合後、右SBの内田篤人は「完璧に崩されたというシーンはあまりなかった」と切り出した。「だけど、相手には高い選手がいるから、それをやったほうがサッカーになる。自分がオーストラリアの1トップの選手(ジョシュア・ケネディ)だったら、オレに蹴れよと言うし」と、相手のペースに引きずりこまれたことを悔やんだ。