サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
10年前、長谷部誠が語っていた「アウェイの教訓」とは… ザック、ハリルでも勝てなかった“ホームのオーストラリア”との激闘譜
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byShigeki Yamamoto
posted2022/03/23 17:03
2012年6月、敵地ブリスベンで行われたアジア最終予選のオーストラリア戦。数的優位を得ながらも勝ち切れず、キャプテンの長谷部誠は試合後に「教訓」ともいえる言葉を残した
2失点目につながるピンチをしのいだGK川島永嗣は、「アウェイではどんなことが起こっても不思議ではない。勝ち切ることはできなかったけれど、自分たちの良さは要所で出ている。引き分けという結果をプラスにとらえたい」と前を向いた。リールセ(ベルギー)に所属していた川島をはじめとして、日本は海外クラブ所属選手を多く抱えていた。10年の南アフリカW杯のメンバーから川島、長友、内田、今野泰幸、遠藤、長谷部、本田、岡崎慎司の8人が先発していた。控えメンバーの駒野友一と中村憲剛も南アフリカで戦っており、香川真司はサポートメンバーとして帯同していた。チームとしても個人としても経験値を高めていたが、今回も先制点を勝利に結びつけることはできなかった。
ハリルホジッチとポステコグルーの神経戦
18年ロシアW杯を目ざす道のりでは、16年10月11日にメルボルンで相まみえた。日本は2勝1敗のグループ4位、オーストラリアは2勝1分の無敗で首位に立っていた。
ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が統べる日本は、右SB酒井宏樹を出場停止で欠いていた。長友も負傷で離脱した。直前のイラク戦に先発した岡崎は、左足首の負傷でベンチスタートを余儀なくされる。イラク戦からは先発が4人入れ替わり、本田が1トップに入った。右MFの小林悠は、最終予選初先発だった。
開始早々に先行した。左MFの原口元気が左サイドを駆け上がり、本田のパスを受けて左足でゴールネットを揺らした。オーストラリアとのアウェイゲームで、3試合連続となる先制点を奪った。
日本はハリルホジッチ監督が求める縦に速い攻撃で、その後も散発ながら相手ゴールへ迫っていく。しかし追加点をあげることはできず、後半開始間もない51分に原口のファウルでPKを与えてしまう。ミル・ジェディナクに決められて同点とされた。
ここから先は、両指揮官が神経戦を繰り広げる。オーストラリアのアンジェ・ポステコグルー監督は、攻撃的なカードを切って2点目を狙ってきた。70分にはベンチスタートのケーヒルが登場し、スタジアムが大歓声に包まれる。