メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
「メジャーで通用しない」評が激変…菅野智之35歳を大物メジャーOBが“異例の絶賛”「なぜMLB打者はスガノを打てない?」球速は平均以下も…「芸術的だ」
posted2025/05/03 06:02

オリオールズ菅野智之35歳。スピードに頼らないその投球がアメリカで注目されている
text by

水次祥子Shoko Mizutsugi
photograph by
Getty Images
オリオールズ菅野智之35歳の快進撃はこのまま続くのか――。
米国メディアではそんな話題をよく目にする。
メジャーデビュー戦となった3月30日のトロントでのブルージェイズ戦は4回を4安打2失点で初黒星を喫するも、2戦目以降、6戦目まで負けなし。6試合で防御率3.00はチームベストの数字だ。
球速は平均以下も…MLB打者なぜ打てない?
ADVERTISEMENT
フォーシームの球速は平均92.3マイル(約148.5km/4月終了時点)と、昨季のメジャー平均94.3マイル(約152km)と比べても3.5km遅い。それもあって米メディアでは当初、メジャーで通用するか疑問視する声も挙がっていた。米専門メディア「BVMスポーツ」は4月25日付で「トモユキ・スガノのメジャーキャリア序盤のサクセスは持続可能なのか?」の見出しで記事を掲載。メジャーデビューから最初の5試合の9回平均の奪三振率2.9は両リーグ通じてワーストで、投手の実力を測る推定防御率「xERA」が最初の5試合で6.11と実際の防御率「ERA」よりはるかに悪かったことから「スガノはここまで成功しているものの、投球データの指標の低さが目立ち、この先も成功が続くか疑がわしい」と指摘していた。
球速がなく奪三振率も低いなどマイナス要素が多い菅野の投球が、なぜここまで成功しているのか。裏を返せばメジャー強打者たちはなぜ菅野を打てないのか。そんな疑問に対するヒントがあった。4月28日のオリオールズ-ヤンキース戦でMLB界の大物解説者2人が菅野を分析していたのだ。
その試合で菅野はメジャー6度目の先発マウンドに上がり、5回まで5安打されながらも無失点、メジャー自己最多の8奪三振を記録して3勝目を挙げた。菅野自身が対戦したい相手として名前を挙げていたアーロン・ジャッジに対しては、1回の第1打席で外角スイーパーを左前打され、3回の第2打席では外角フォーシームを中前打されたが、5回の第3打席では2ボール2ストライクからの6球目スプリッターで見事に空振り三振に仕留めた。
ヤンキース名将も絶賛…スガノの武器
この試合を中継していたニューヨークのテレビ局「YESネットワーク」に2人の大物解説者が出演。1994年サイ・ヤング賞に輝き1999年にヤンキースでMLB史上16度目の完全試合を達成した往年の名投手デビッド・コーンと、カブスやヤンキースなどで捕手として15年、監督としても14年の実績があり2006年最優秀監督賞に輝いたジョー・ジラルディである。試合中、菅野に関してこんなやり取りが繰り広げられていた。