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10年前、長谷部誠が語っていた「アウェイの教訓」とは… ザック、ハリルでも勝てなかった“ホームのオーストラリア”との激闘譜
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byShigeki Yamamoto
posted2022/03/23 17:03
2012年6月、敵地ブリスベンで行われたアジア最終予選のオーストラリア戦。数的優位を得ながらも勝ち切れず、キャプテンの長谷部誠は試合後に「教訓」ともいえる言葉を残した
唯一の海外組として先発した松井大輔は、後半の戦いぶりを勝敗の分かれ目にあげた。「後半に攻めきれなかったですね。もうちょっと中盤でつなげれば、自分たちのゲームができたと思う」と振り返った。
岡田監督は「得点シーン以外にも、多くはないがチャンスは作った。この1試合で悲観することはない」と話した。オーストラリアから最終予選で初めてゴールを奪った日本だが、勝ち点3をつかむことはできなかった。
ザックジャパンは不可解判定に翻弄された
2度目の対戦は12年6月12日である。
アルベルト・ザッケローニ監督に率いられた日本は、6月3日のオマーン戦に3対0で、8日のヨルダン戦に6対0で勝利し、敵地ブリスベンに乗り込んだ。
8日の最終予選第1戦でオマーンと引き分けていたオーストラリアは、開始早々から攻勢を仕掛けてきた。ケーヒルとアレックス・ブロスケをターゲットとするロングボールに、日本は最終ラインを後退させられた。バイタルエリアも活用されて押し込まれるが、前半の途中から少しずつ戦況を好転させていく。
後半に入った55分、マーク・ミリガンが2度目の警告で退場となり、日本は数的優位に立つ。10人になった相手をペナルティエリア内にクギ付けにすると、65分に右ショートコーナーから栗原勇蔵がプッシュする。負傷欠場の吉田麻也に代わってCBに入った28歳が、ヨルダン戦に続いて2試合連続得点をあげた。
「先制したあとで、もう少しボールを回すべきだった」とは、試合後の長谷部の言葉である。先制したところまでは申し分なかったが、70分にPKを与えて同点に追いつかれる。その後は数的優位を生かしきれず、89分には栗原が2度目の警告を受けて退場してしまった。
後半アディショナルタイムには敵陣で直接FKを得るが、本田がボールをセットしている途中で終了のホイッスルが鳴る。不可解な判定によるPKも含めて、後半はサウジアラビアのカリル・アルガムディ主審に翻弄されたところもあった。