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サポーターの「またか」を“いい意味で裏切った”サウジ戦快勝の要因とは? 日本代表に浸透しつつある森保監督の「連携、連動」
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byTakuya Sugiyama/JMPA
posted2022/02/02 17:02
伊東純也は持ち前の走力で先制ゴールをアシストし、後半には自ら強烈なシュートを突き刺した
吉田、冨安が不在の中での連勝は大きな自信に
公式記録によるボールポゼッションは、日本が40・3パーセントでサウジが59・7パーセントである。ボールを握り続けることはできなかったが、シュート数は8対2だ。試合の主導権は日本にあったと言っていい。
一人ひとりがハードワークしていた。プレーの強度も高かった。プレシーズンの国内組は、1月のウズベキスタン戦が中止になったなかで、良くぞここまでコンディションを整えてきた。権田修一、谷口彰悟、長友、大迫らの覚悟、決意、責任感といったものも、サウジ撃破の要因にあげられる。
戦術的な意味では、この日も遠藤、守田、田中の存在感は際立っていた。攻撃の起点になり、崩しのきっかけを作り、相手の攻撃の芽を摘む。自陣ゴールまで身体を張る。FWやDFを素早くサポートして、攻守に数的優位を生み出す。スタメンとシステムを変えないことへの不安や不満は、彼らのプレーによって封印されたとも言えるだろう。
改めて振り返れば、今回の連戦では主将の吉田麻也と冨安健洋のCBコンビを欠き、攻撃のオプションとなる古橋亨梧と三笘薫もケガで招集できなかった。サウジも数人の主力選手を欠き、この試合では20分過ぎにも中心選手が負傷交代したが、最終予選は10試合トータルでの争いだ。問われるのはチームとしての総合力である。谷口と板倉のパフォーマンスは頼もしく、長友は批判をエネルギーに変えた。今回の2試合を通して、チームとしても個人としても自信を深めることができたと言える。
もちろん、日本はまだ何もつかんでいない。3位のオーストラリアとの勝ち点差は開いたものの、得失点差では劣る。3月24日のアウェイゲームで敗れると、得失点差で3位に転落してしまう。
オーストラリア戦について問われた森保監督は、「今日よりもさらに厳しい試合が待っている。移動して初戦は毎回コンディションも整わず、なかなかコンビネーションも上がらずに難しい試合を強いられている」と警戒を強めるが、現在の日本は最終予選序盤とは明らかに違うチームとなっている。今回の2試合で得た自信は、チームの支えとなっていくはずだ。
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