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サポーターの「またか」を“いい意味で裏切った”サウジ戦快勝の要因とは? 日本代表に浸透しつつある森保監督の「連携、連動」
posted2022/02/02 17:02
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Takuya Sugiyama/JMPA
こんな試合が見たかったのだ。
2月1日に行われたカタールW杯アジア最終予選のサウジアラビア戦で、日本は2対0の勝利を収めた。首位サウジとの勝ち点差を「1」に詰めて2位をキープすると、埼玉スタジアムでの勝利は数時間後にさらなる価値をもたらした。3位のオーストラリアが、アウェイでオマーンと引き分けたのだ。オーストラリアとの勝ち点差は、「1」から「3」に開いている。
スタメン発表時には「またか」という声もあったが…
試合前のスタメンを見た瞬間に、眉をひそめた人がいたかもしれない。森保一監督が選んだ11人は、5日前の中国戦とまったく同じだったからだ。システムも4-3-3である。
最寄り駅から埼玉スタジアムへの道のりで、サポーターの「またか」という声を聞いた。ネット上に飛び交う指揮官への否定的な声に、図らずも生で触れることになった。
中国を2対0で退けた流れを生かした、と考えることはできる。その一方で、中山雄太ではなく長友佑都が、最終予選無得点の南野拓実がスタメンで起用されたことが、不安や不満を誘ったのだろう。
スタメンとシステムが同じなら、分析されやすい。昨年9月のオマーン戦の敗退は、相手のスカウティングを上回ることができなかったからでもあった。
ただ、スタメンやシステムを変えないメリットもある。ピッチ上でのコンビネーションが深まるのだ。森保監督お得意のフレーズを使えば、「連携、連動」が高まる。
32分の先制点は分かりやすい。自陣左サイドの遠藤航がセンターサークル付近の伊東純也へ斜めのパスを入れると、伊東はワンタッチで酒井宏樹へ落とす。伊東はそのまま右サイドへランニングし、酒井がタテパスを通す。CBとの競走を制した伊東が中央へクロスを入れると、大迫勇也がスルーする。
背後でパスを受けたのは南野だ。DFを冷静にかわすと、左足を振りぬく。身体を倒したGKの足に当たったが、気持ちでねじ込んだ。流れるような連携で相手守備陣を崩し、背番号10が決め切ったのだった。