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森保ジャパン、即席ミーティングの内実は… サウジ戦での臨機応変さと必殺の“ポケット攻略”〈史上初のW杯最終予選5連勝〉
posted2022/02/02 11:45
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
Takuya Sugiyama/JMPA
伊東純也の4試合連続ゴールの偉業に隠れているが、2月1日のサウジアラビア戦ではチームとしても大きな記録を樹立した。
W杯アジア最終予選で5連勝――。
これまでに4連勝を達成したのは、06年ドイツW杯予選時のジーコジャパンと今回の森保ジャパンだけ。岡田ジャパンも、ザックジャパンも、ハリルジャパンも成し遂げていない。
ちなみに、ジーコジャパンの4連勝目は、ともにW杯出場権を得たあとのイランとの消化試合だった。
プレッシャーがのしかかる最終予選、拮抗した相手とのシビアな戦いで勝ち切り続けることは、本当の実力がなければ難しい。それを5試合続けて、しかも5連勝目はグループ最大の敵に対して、ほとんど完璧なゲーム運びで――。
ピッチ内で判断する自主性、臨機応変さが出た
立ち上がりからの15分くらいで相手の出方や立ち位置を見極め、その後は一気にギアを上げた。
南野拓実のゴールで32分に先制したあとはペースを緩め、相手に反撃の隙を与えないまま前半を終えた。
後半開始直後から再びラッシュをかけて伊東純也が追加点を奪うと、選手交代によってカウンターとプレッシングの強度を強め、危なげなく勝ち切った。
16分に相手選手が負傷し、治療に時間がかかることを察すると、ピッチ上に日本の選手たちによる即席ミーティングの輪がいくつか生まれた。なかでも身振り、手振りで多くのチームメイトとコミュニケーションをとっていたのが、インサイドハーフの守田英正だ。
再開後に日本が主導権を握ったことを考えると、ここでの話し合いがポイントとなったに違いない――そう思って試合後に訊ねると、守田が申し訳なさそうに答えた。
「いろいろなことを話したんですけど、あまり内容を覚えていなくて。そのシチュエーション自体は覚えていますが、どういう声をかけたのか覚えていないのが正直なところで」
集中していて本当に覚えていないのか、満点の返しではぐらかしたのか……。
いずれにしても、ピッチ内で状況を整理し、判断する――これまでに森保ジャパンが取り組み続けてきた自主性、臨機応変さを選手たちが身につけていることが確認できた。
一方で、この試合の焦点のひとつが、日本の右サイドとサウジアラビアの左サイドの攻防にあったのは確かだろう。