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藤田菜七子27歳、永野猛蔵22歳が引退の“異常事態”…「騎手のスマホ不正使用」本当の問題点とは何か?「たかがスマホという感覚でいる限り…」
posted2024/11/20 17:01
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Getty Images
このところ、JRAの若手騎手によるスマホの不正使用が相次いで発覚している。
昨年5月、古川奈穂、永島まなみ、今村聖奈、角田大河、河原田菜々、小林美駒の6名が競馬開催日にスマホを使用していたため、30日間(開催10日間)の騎乗停止処分となった。
今年7月には水沼元輝が、競馬場とトレセンの調整ルームで複数回スマホを使用していたため9カ月間の騎乗停止処分を受けた。スマホのケースのみを預ける偽装工作が悪質とみなされ、重い処分となった。
そして、10月、永野猛蔵と小林勝太が調整ルームでのスマホ使用により、裁定委員会の議定が出るまで騎乗停止となった。両者とも、2台のスマホのうち1台を専用ロッカーに預け、もう1台を調整ルームに持ち込んでいたという。
藤田菜七子、永野猛蔵が相次いで引退の“異常事態”
それからほどなく、藤田菜七子が2023年4月ごろまでに複数回、調整ルームにスマホを持ち込み通信していたことが明らかになった。騎乗停止となった藤田は、騎手免許取消を申請し、10月11日付で引退した。
さらに、11月13日、騎乗停止中の永野も騎手を引退。また、横山琉人と佐々木大輔が調整ルーム内での通信行為に間接的に関わっていたことが判明し、30日間の騎乗停止処分が下された。永野は、スマホの不正使用とは別に、自身の負傷療養中、親族に馬券予想行為をしていたことも確認された。ただし、騎乗経験がない馬で、競馬の公正確保には抵触しないと判断されたとのこと。JRAが1年間の騎乗停止処分を伝えたところ、本人から騎手免許取消の申請があったという。
まとめると、わずか1年半ほどの間に12人の若手騎手がスマホの不正使用で騎乗停止処分となり、うち2人が自ら騎手を引退したのだ。
同時期に、自家用車による競馬場の芝コースへの進入、暴力沙汰、飲酒運転、調教助手による傷害事件などの不祥事も重なり、競馬界全体のイメージが悪くなりかねない状況になっている。
これでは、ルールを守らないことが常態化していると見られてもやむを得まい。明らかに異常事態である。