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三笘薫の鮮烈デビューを“健全な競争”の足がかりにできるか?「采配負け」から始まった最終予選で森保ジャパンが示した変化
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byAFLO
posted2021/11/17 17:01
決勝アシストの三笘薫をねぎらう森保監督。新戦力の活躍を受けて、ドラスティックに「序列」を見直すことはあるのだろうか
11月のベトナム戦も4-3-3で臨み、伊東のゴールで1対0の勝利を収めた。この試合ではコンディションが万全でない酒井がベンチメンバーからも外れ、右SBに山根が起用された。最終予選初先発の彼も、川崎Fで4-3-3に馴染んでいる。全体練習が1回だけという非常事態では、山根こそが代役として適任だったかもしれない。
より積極的に競争原理を働かせるべき
4-2-3-1だけでなく4-3-3というオプションを手にしていたチームは、今回のオマーン戦で新たなオプションも手にした。セントラルMFを3人から2人に削り、アタッカーを増やした後半のシステムは、今後も応用可能だろう。
交代カードのオプションも得た。オーストラリア戦の浅野に続いて、オマーン戦でも途中出場の中山と三笘が決勝ゴールに絡んだ。
所属クラブで好調を維持する古橋は、最終予選で得点をあげていない。同じくクラブレベルで結果を残している前田大然と上田綺世は、オマーン戦でメンバー外だった。
攻撃のオプションと成り得る彼らを、チームに取り込んでいくことは今後のテーマとなる。実戦で起用しなければ、計算できる戦力にはならない。しかし、勝ち点3がほしい大一番で三笘を代表デビューさせたのは、森保監督の変化と言えるのではないだろうか。
年内の試合は11月で終了し、次は1月末から2月上旬にかけての連戦となる。Jリーグがオフ明けという難しい時期の活動になるが、オマーン戦はポジションの序列を変えるきっかけと成り得るものだった。選手起用はコンディションの見極めが前提となるが、海外組の中山を左SBの先発で使ってもいい。古橋についても同じことが言える。「大迫ありき」から競争の時期へ移行するべきだ。三笘に加えて久保や堂安らも控えている2列目では、南野も絶対的ではない。競争原理を働かせることで、チームのベースアップをはかるのだ。
9月の最終予選開幕時に比べると、チームは間違いなく進化した。その過程では大きな痛みも伴った。6試合で5得点はオマーンと中国よりも少なく、リスタートを生かし切れていないのは大きな課題となっている。それでも、暗闇から脱出した現在のチームが、希望を抱かせるのは間違いない。
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