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7大会連続W杯出場に“赤信号”…「3つの決定機は前半」サウジ戦の森保ジャパンから考える〈1点が遠すぎる問題〉
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2021/10/08 17:10
「6ポイントマッチ」に敗れてうなだれる吉田。一方、祈りを捧げるサウジの選手たち
なぜここまで“1点”が遠かったのか?
先に動いたのは森保一監督だった。59分、南野と浅野を下げ、古橋亨梧と原口元気を投入する。後半開始からやや押し込まれていたが、この選手交代はペースを引き戻すきっかけとなった。前半は攻撃参加を抑えていた酒井宏樹と長友佑都が、敵陣へ入っていく。
ここで問題となったのは、得点奪取の道筋がはっきりとしなかったことだ。森保監督が繰り返す「連携・連動」とは、1トップの大迫を起点に距離感と角度を考えながら周囲の選手がサポートし、2列目や3列目からも飛び出して厚みを生み出す、といった攻撃を指している。しかし、この日の日本がつかんだ決定機は、柴崎岳のミドルシュートと南野のヘッド、それにショートカウンターから大迫が抜け出したものだ。CBやボランチが攻撃のスイッチとなる縦パスを刺し込み、そこから複数の選手が関わって崩していく、という場面はほとんど見られなかった。
ドリブルで局面を打開できる伊東がいれば、展開は変わっていたかもしれない。そのうえで言えば、システムも選手も固定されている日本は相手にとって分かりやすく、自分たちのスピードやパワー、即時性や連続性が落ちると攻撃の迫力を失ってしまうことが、根本的な問題なのである。3つの決定機はすべて前半に生まれていたことは、このチームの特徴を良くも悪くも表わしている。
サウジ戦の森保ジャパンになかったもの
パワーダウンを避けるための手段は選手交代だ。71分に先制された直後、森保監督は守田英正とオナイウ阿道を投入した。1トップから2トップに変更したが、そもそも敵陣深くへボールを運べないのである。
5枚目の交代は、後半アディショナルタイムに入ってからだった。下がったのは長友で、入ったのは中山雄太である。左サイドバックの交代だ。選手の立ち位置が変わることはなく、パワープレーへ切り替えることもなかった。
攻撃的なカードとしては、三好康児が残っていた。80分過ぎから大迫の動き出しが鈍くなり、動き直しが効かなくなってもいた。大迫を残すのではなく三好を送り出し、古橋を左サイドから中央へ動かしたほうが、サウジに圧力をかけられた。