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格下相手に「もっと得点できた」から脱出? 日本代表“全ポジションで熾烈なメンバー争い”が加速〈序列はどうなる?〉
posted2021/05/29 11:40
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
JMPA
与えられた条件のなかでは、文句なしの解答と言っていい。
5月28日に行なわれたカタールW杯アジア2次予選のミャンマー戦で、日本は力の差を見せつけた。10対0で大勝したのだ。
勝って当然の相手ではある。しかし、勝って当然の試合でゴールラッシュを演じる難しさには、これまで何度も直面してきた。
「もっと得点できた」前大会の2次予選では
ヴァイッド・ハリルホジッチ監督とともに臨んだ前大会の2次予選では、ホームでシンガポールと0対0で引分け、カンボジア戦は2対0に終わっている。カンボジア戦後のハリルホジッチ監督は、「チャンスは多く作れていたので、もっと得点できたと思う」と振り返った。
今回の2次予選でも、序盤は相手の抵抗に遭った。19年9月のミャンマーとのアウェイゲームは2対0で、同10月のモンゴルとのホームゲームは6対0だった。同10月のタジキスタンとのアウェイゲームは3対0で、キルギス戦は2対0である。勝点3は積み上げていったものの、物足りなさの募る戦いが続いた。
それがどうだろう。3月のモンゴル戦を14対0の記録的大勝で終えると、この日も2ケタ得点とクリーンシートである。
前半で勝利を決定づけたチームは、後半にペースダウンすることが少なくない。19年10月のモンゴル戦も、前半のうちに4点を奪い、後半は2点にとどまった。試合後の吉田麻也は「決め切るところを決めていれば、8対0ぐらいにはできた」と語り、森保一監督は「選手が代わったあとの連係・連動をもっと上げなければ」と話したのだった。
〈力の差を見せつけられない〉というジレンマから脱出
無観客で行なわれたこの日のミャンマー戦は、4対0でハーフタイムを迎え、後半に6点を加えた。後半は5人の交代選手が送り込まれたが、チームのクオリティが落ちた印象はない。コロナ禍で強化スケジュールは大幅な修正を迫られたが、攻守ともに連動性が高まっている。個々のレベルアップが攻守の切り替えや球際の攻防に表われ、チームのクオリティを押し上げているとも言える。